ライフ

がんになったら「即手術・即治療」の思い込みに注意 「経過観察」で“放っておいていいがん”もある

がんになったら「即手術・即治療」が良いとは限らない?(イメージ)

がんになったら「即手術・即治療」が良いとは限らない?(イメージ)

「日本人の死因1位」のがん。克服には早期発見・治療が基本とされるため、罹患すれば「即手術・即治療」と思いがちだ。だが、前立腺がんは放っておいてもいいと上昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)は語る。

「前立腺がんはほかのがんに比べて進行が遅いため、年齢によっては『経過観察』という選択があります。むしろ手術の後遺症で尿失禁やEDになるリスクが高く、早期発見による早期治療が必ずしも正解というわけではありません」

 胃がんのリスクを高める要因として「ピロリ菌」がよく知られているが、実は最近、胃がんになった時の生存率はピロリ菌を除去していない人のほうが高いとの指摘が医学界から出された。2017年と2022年にこの研究結果を発表した岩手医科大学特任教授の西塚哲医師が言う。

「私たちが発表した研究結果は、進行胃がんで胃の切除術を受けた患者と、手術後に抗がん剤治療を受けた患者のいずれもで、ピロリ菌陽性者のほうが陰性者より5年生存率が高かったというものでした。これまで早期がんとの関連でピロリ菌除去のメリットが語られてきましたが、進行胃がんになった場合は、ピロリ菌感染で免疫状態が鍛えられた経験を持つ人のほうが、予後がいい傾向があると推測されます」

 一般的に「がん家系」という言葉があり、親族にがん患者がいる人はがんの罹患リスクが高いと思われているが、上医師はがんはほとんど「遺伝」しないと言う。

「がんは遺伝子の変異によって起こる病気ですが、大部分は年齢を重ねるにつれて遺伝子が傷つくという、後天的な変化によるものです。先天的な変異による遺伝性がんの代表的なものが、女優のアンジェリーナ・ジョリーが予防的乳房切除した件で知られる遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)。その遺伝子変異は性別を問わず親から子へ50%の確率で受け継がれますが、そのような遺伝性がんは極めて稀なケースです」(上医師)

※週刊ポスト2023年6月30日・7月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト