デビューから10周年を迎え、グループとしてソロとしてさらなる飛躍を遂げているBTS。そんな“時代の担い手”の裏側は、いったいどんなものなのか──。J-HOPEとSUGA、2人のメンバーに焦点を当てたドキュメンタリー映画が、1週間限定で劇場公開される。さあ、映画館でしか体感できない“音楽の旅”へ──。“K-POP番長”と呼ばれる音楽ライター・まつもとたくお氏が、両映画を深掘り解説する。
『SUGA: Road to D-DAY』
《Agust D(SUGA)Solo Album“D-DAY”の制作裏側に迫ったドキュメンタリー。SUGAが新しい夢を見つけるため、ラスベガス、マリブ、東京など世界中を旅する姿を追う》
ファンならずとも見てほしい映画。音楽をやる人に限らず、生きていれば必ず訪れる悩みに対して真摯に向き合うひとりの人間の姿を克明に刻み込んだ映像の数々は、多くの人たちに前向きな心を与えてくれるはずです。
ここまで本音を言っても大丈夫だろうかと心配するほどに、自問自答を繰り返すSUGA。BTSが“ソロ活動も本格的に始動”を告げた際にSUGA自身もソロアーティストとして新しい音楽ジャンルを探求し、自身の夢や新たな目標を探し始める。
どんな状況でも楽しく生きなければいけないと考えた彼は、海外在住の音楽関係者たちと積極的に交流します。その中で故・坂本龍一さんと出会うのですが、対話によってどんな希望の光を見いだすのか——それは映画を見てのお楽しみです。
K−POPというジャンルはもはや韓国国内で作るポップスを指すのではなく、国籍や人種、性別を超えて気持ちの通じ合う人同士で生み出すサウンドであること。その困難を乗り越えたからこそ、BTSのメンバーらは世界屈指のアーティストになれたこと。その2つを認識できる重要な作品だと言えるでしょう。
『j-hope IN THE BOX』
《J-HOPE Solo Album『Jack In The Box』の制作と完成までを描いたドキュメンタリー。アメリカの大型音楽フェス「ロラパルーザ」での姿など200日以上の記録が描かれる》
J−HOPEが昨年リリースしたソロアルバムの制作風景をはじめ、同作のプロモーション活動やプライベートの様子、そして世界最大のミュージックフェスティバル「ロラパルーザ」(アメリカ・シカゴ)のステージに向けての練習や打ち合わせ、本番を迎えるまでの姿を基本的に一台のカメラで追っていくドキュメンタリー映画です。
BTSでは明るく社交的な面が際立っている印象があるJ−HOPEですが、この映画ではそうした従来のイメージ通りの部分を見せる一方で、ソロとしてやっていく重圧感、創作する上での苦しみや悩みをためらうことなくさらけ出していきます。彼はヒット曲「MORE」で“名誉と富がすべてじゃない”“僕はもっと欲しいんだ”と切実に訴えました。単に成功したかったわけではなく、アーティスト名の通り、聴き手に“希望”を与えるアーティストでありたい——そのために奮闘する姿と仕事を離れたときの素顔をあわせて見せることで、J−HOPEという人間のすべてを理解してほしいと願ったのでしょう。
ライブシーンをふんだんに使っているので、劇場で鑑賞すれば盛り上がるのは間違いありません。彼が放つ大きなオーラをスクリーンでしっかりと受け止めてください。
●2023年6月23日(金)より1週間限定公開(2作品とも)
入場特典 ※それぞれ数量限定、先着順
第一弾(23〜25日):日本限定オリジナルフォトカード
第二弾(26〜29日):オリジナルフォトカード.
【プロフィール】
まつもとたくお/韓国の音楽事情に詳しく“K-POP番長”と呼ばれる音楽ライター。『ミュージック・マガジン』などに寄稿し、『韓流ぴあ』や『ジャズ批評』、『ハングルッ!ナビ』などで連載を持つ。
※女性セブン2023年7月6日号