ゆうメイト、そのものの呼称は2007年に廃止されているが、非正規そのものは「期間雇用社員」の名の下、細分化された。また現在の日本郵政は「企業コンプライアンス違反」として自爆営業を禁止しているとされる。自爆営業は「存在しない」、「確認できない」、とも。しかしグループである「かんぽ生命」の自爆営業、不適切販売問題発覚は2019年とそれほど古くない。年賀はがきなどは「期待数(実質的なノルマ)達成のため自分の意思で購入した」という体をとる場合もある。
存在しない、確認できないと言うなら仕方のない話だが、いま郵便局の現場も人手不足に苦しんでいる。とくに都市部では「短時間でも!」「隙間時間でも!」と、局内に求人のチラシやカードが溢れている。
「自爆営業させられるというイメージも避けられている理由だと思いますよ。安い時給をさらに減らされるようなものですから」
未達による吊し上げ、反省文、こうした行為が当たり前に行われてきた歴史は事実だ。
アルバイト確保のための自爆雇用
同じように、自爆営業の悪いイメージがいまも求人に影響を与えているのでは? とするのは都内の居酒屋チェーン社員だ。
「居酒屋チェーンも酷いものです。うちではないが、別の大手で有名だったのが”おせち”だ。居酒屋チェーンの大衆価格と釣り合わない豪華おせちだった。社員はもちろんアルバイトも買わされたと聞く」
もちろん人手の足りないどころか「誰も来ない」と苦しむ業種の問題は自爆営業だけではない。アルバイト一人にいくつもの仕事を押し付ける、最低時給で社員と同じ仕事をさせる、などはもちろん、結局のところ「時給に見合わない」というのが第一であろう。
「自爆営業の積み重ねで、いまさら『うちはもうやってません』で求人を呼びかけても来るわけがない、これもまた、自業自得だ」
しかし、これまで労働者を搾取する自爆営業があったこともまた事実だ。「労働者の意思でやったこと」「インセンティブはつけている」とパワハラや労働基準法違反すれすれのグレーゾーンで社員やアルバイトまで食い物にしてきた現実がある。そのままこの国の「失われた30年」と言ってもいい。