国内

中国の原発から福島を大きく上回る放射性物質を含む処理水放出 日本に入ってくる中国産水産物は大丈夫か

中国で51基目となった。紅沿河原発5号機(共同通信社)

中国で51基目となった。紅沿河原発5号機(共同通信社)

 福島第一原発の処理水の海洋放出を目前にして、隣国の原発からは福島を大きく上回る放射性物質を含んだ処理水がたれ流されていたことが発覚した。日本人の食卓に危機はないのか──。

 間もなく日本の海に起きる“異変”に、国内外が大きく揺れ動いている。この夏にも福島第一原発の処理水が海洋に放出されるのだ。

 日本政府は2021年、東日本大震災で起きた原発事故以来、福島第一原発の敷地内にずらりと並ぶ巨大タンクに保管してきた処理水を、海に流す方針を決定していた。

「原発事故により、高濃度の放射性物質を含んだ『汚染水』が発生しました。その汚染水の放射性物質の濃度を低減する浄化処理を行ったものを『処理水』と呼びます。ただし、完全に浄化しきれない放射性物質がある。それがトリチウムといわれる物質です」(全国紙社会部記者)

 政府の説明によれば、処理水はトリチウム以外の放射性物質は安全基準を満たすまで浄化。浄化が困難なトリチウムについても海水で大幅に希釈し、国の定めた安全基準を満たす状態に薄めてから放出するとしている。

 しかしながら、当時、この決定に隣国からは猛反発が起きた。

 韓国の文在寅大統領(当時)は、日本の決定について国際海洋法裁判所へ提訴する構えを見せた。

 また、中国の趙立堅報道官は「一方的に福島原発事故の汚染水を海洋放出すると日本が決定したことは、無責任の極みであり、国際社会の公共の健康と安全や周辺諸国の人々の切実な利益を損ねる」と発言、日本を牽制した。

 ところが、ここにきて韓国の月城原発からは、福島第一原発の年間放出予定量(22兆ベクレル以下)の実に6倍以上の約136兆ベクレル(2016年)が放出されていたことが発覚。

 さらに6月23日、読売新聞が《中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大6.5倍……周辺国に説明なしか》と報じたのだ。

 記事によれば、日本が海洋放出を決定する以前から、国内の4つの原発が日本の年間放出予定量の約4〜7倍のトリチウムを含んだ処理水を、近隣国に説明も承諾も得ずに放出していたという。

 中韓両国に“特大ブーメラン”が襲った格好だが、特に注目を集めたのが中国だ。

 日本にとって中国は農産品や水産物などを中心に多くの食品の輸入元となっている。輸入件数でいえば次点のアメリカに4倍もの大差をつけダントツである。

 水産庁が発表しているデータによれば、2019年の水産物の輸入における中国の割合は全体の約18%で、金額に換算すると3000億円以上にのぼる。

 いかやまぐろ・かつお類の主要な輸入先となっているほか、あさりやホタテも多くが中国産だ。

 まさに日本の食卓に欠かせない存在になっているが、それだけに、日本に入ってくる中国産の水産物に対し、「放射能汚染は大丈夫か」と不安の声も高まっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン