神戸市の自宅で母親を監禁・虐待したとして穂坂沙喜容疑者(34)らきょうだい4人が逮捕された。自宅付近の草むらからは、スーツケースに入った沙喜容疑者の6歳の長男の遺体も見つかり、全身にはあざが確認されている。
「容疑者の供述から次男の大地容疑者(32)がほかのきょうだいに、虐待と監禁を命じていたと見ている。現在、男児への殺人、死体遺棄の容疑でも捜査が進められている(6月28日時点、以下同)」(全国紙社会部記者)
きょうだい4人が幼少期を過ごした団地を取材すると、保護された母親による虐待を指摘する声が相次いで聞こえた。
「毎日のように母親が怒鳴っていて、沙喜たちは泣いてじっと耐えていた。体にあざもあって教師が自宅を訪ねたこともあったが、母親は聞く耳をもたなかった。掃除や洗濯は沙喜たちがいつもやらされていた」(近隣住民)
だが、きょうだい4人が受けてきた虐待に関する証言はテレビ、新聞ではほとんど報じられていない。いったいなぜか。現場で取材をした元神奈川県警刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はこう指摘する。
「見合わせている要因は大きく2つ。まず、警察が事件と虐待を別の問題として考えていて、警察発表で触れられていないこと。そして、母親は事件の被害者です。テレビや新聞が報じるのは、容疑者が犯行の動機で“過去、母親から虐待を受けていた”などと供述し、事件との関係性が浮上してからではないか」
虐待を受けた子供が虐待をする親になる割合は7割にのぼるという統計もある。“虐待の連鎖”という問題にも向き合う必要があるのではないか。
※週刊ポスト2023年7月14日号