大西洋に沈むタイタニック号の見学ツアー中に事故に遭った潜水艇「タイタン」。その残骸が海底で発見された翌日の6月23日、ZOZO創業者で実業家の前澤友作氏(47)がツイッターを更新した。
〈マリアナ海溝を目指す自分としても他人事でなく、救出の一報を待っていましたが、残念な結末に。5人のご冥福をお祈りします〉
前澤氏はここ数年、深海への憧れを語ってきた。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「前澤氏は2021年12月にロシアの宇宙船で国際宇宙ステーションに向かい、日本の民間人初の滞在を成し遂げました。その後、水深1万mを超える世界で最も深いマリアナ海溝の最深部『チャレンジャー海淵』への探検計画を明かし、『どういう潜水艦とか、どういう時間をかけて行くかも、ほぼ決まっています』と発言しています」
2021年1月には自動運転の潜水艇の開発を目指す国内ベンチャー「SEA BALLOON」への出資を発表していた前澤氏。影響を与えたとされるのは、2022年世界長者番付でトップに立ったテスラのCEOであるイーロン・マスク氏(52)だ。
「マスク氏は2018年洞窟に閉じ込められたタイの子供を救出するため潜水艇を作ったのですが、マスク氏を尊敬する前澤氏はそれに共鳴し、私用の潜水艇製造に乗り出したといいます」(経済紙記者)
今回タイタンに乗船したのは、タイタニック号探査の専門家のほかに、イギリスの富豪冒険家、パキスタンの実業家親子など。前出・関氏は、「近年世界の実業家の目は深海探索に向いている」と話す。
「宇宙に行った人はすでに600人近くいる一方、チャレンジャー海淵に行った人は2021年時点で13人と圧倒的に少ない。『誰もやったことがないこと』を志向する実業家の一部は新たなフロンティアを深海に定めています。
今回タイタンのツアーは8日間で約3500万円と割安でしたが、2019年4月にマリアナ海溝に挑んだ投資家で探検家のヴィクター・ヴェスコーヴォ氏は、約5000万ドル(当時の日本円で約55億円)で自分専用の有人潜水艇を作った。『最深部』を目指す前澤氏が今回の観光用潜水艇の事故で計画を変更することは考えづらく、近く発表があるのでは」(関氏)
※週刊ポスト2023年7月14日号