中国の工場でストライキが頻発し、今年1~5月の5カ月間では140回と、同時期としては2016年の313回に次いで、新中国建国以来2番目となったことが、香港を拠点とする中国労働者に関する情報サイト「中国労工通訊(CLB)」によって明らかになった。
中国のスト頻発の原因は、世界的な需要低迷のあおりで輸出企業が賃金引き下げや工場の閉鎖を余儀なくされていることが大きい。欧米では景気悪化の懸念から中国製品の需要が落ち込み、中国の輸出および工業生産は5月に大きく落ち込んでいる。
とくに、ストが多発しているのは広東省や上海周辺の長江デルタ地帯で、上海のケーブル工場では5月下旬、従業員が屋上に上がって、「給料が未払いだ」「すぐに給料を払え」「労働者の権利を守れ」などと書いた横断幕を掲げて、数百人がストに参加した。
広東省深セン市内の自動車部品工場でも給料の未払いが起きており、労働者は就業を拒否したところ、経営者が一方的にスト参加者を解雇すると宣言。労働者らは経営者側の不正を市政府に訴えた。
これらの労働者の多くは農民工(出稼ぎ労働者)で、長江デルタや広東省などの珠江デルタの工業地帯では2億人の農民工が働いているとされる。そのほとんどが臨時の非正規雇用で、経営者側の都合で一方的に解雇されるケースが多い。
中国共産党政権はこれら農民工のストが暴動に発展することを極度に警戒しており、工場側の要請を受けて、警察や武装警察を動員してストを鎮圧している。
6月15日に発表された5月の経済統計では、工業生産が新型コロナの影響で打撃を受けた去年の同じ月からプラス3.5%と低い伸びにとどまっており、景気悪化、労働者解雇、スト続発という悪循環に陥る可能性は否定できない状況だ。