北朝鮮はウクライナに侵攻しているロシアを支援するため、砲弾、ロケットランチャー、ミサイルなどの武器や弾薬を輸出しており、ロシアはその見返りに2020年10月以降停止していた北朝鮮向け石油輸出を昨年暮れから再開していたことが明らかになった。
北朝鮮の武器輸出は国連安全保障理事会の対北朝鮮経済制裁決議によって禁止されているが、ロシアのプーチン大統領は金正恩朝鮮労働党総書記と親密な関係を構築しており、制裁を無視している形だ。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
米国国務省は6月中旬、「北朝鮮はロシアにさらなる軍事装備の納入を計画しており、米国政府は懸念している」との声明を発表し、北朝鮮がロシア軍のウクライナ侵攻作戦を支援していると非難した。
とくに、北朝鮮が保有している武器の多くは旧ソ連やロシアから調達したもので、ロシア軍が使い慣れた軍装備であるため、対ウクライナ戦の最前線で使用されているという。
一方、国連制裁委員会がこのほど発表した報告書によると、ロシアは2022年12月に北朝鮮向けの石油輸出を再開しており、今年6月中旬現在、約6万7000バレルの石油を送った。石油輸出の再開は、両国間の長年の密接な協力関係がここ数カ月で活発化していることを表している。ロシアは経済的な困難に陥っている北朝鮮を支援し、金総書記はウクライナの反転攻勢にさらされているロシアのプーチン大統領の苦境を救おうとしているようだ。
金総書記はロシアが国家としての主権を宣言した「ロシアの日」記念日の6月12日、プーチン大統領にメッセージを送り、ロシア国民への支持を表明した。そのうえで、「ロシア大統領と固く握手し、朝ロ間の戦略的協力の緊密化を図る」意志を確認し、「わが国とロシアの友好は貴重な戦略的資産」であり「正義は必ず勝利する」として、両国関係の親密さをアピールしている。