7月3日、巨人・石川慎吾のロッテへのトレードが発表された。石川は今季一軍の出場はなかったが、ファームでは打率.358、4本塁打、26打点と絶好調だった。必死のアピールもむなしく機会すら与えられず放出されるかたちになったが、石川に限らず、いまの巨人の若手・中堅野手は原辰徳監督の“ベテラン優遇”の煽りを受けている構図が鮮明に見える。
週末の3連戦。首位・阪神に本拠地・東京ドームで1勝1敗1分と差を縮められなかった巨人。深刻なのは貧打だ。3連戦でわずか4得点のみ。3戦目となった7月2日は同点の延長12回に1死一、二塁の好機を作ったが、代打のアダム・ウォーカー、中田翔が連続三振とサヨナラ勝利はならなかった。
今季の阪神戦は3勝7敗1分。2試合登板の伊藤将司には16イニング無得点で、昨年から計40イニングで1得点のみと完全にカモにされている。
「出場している選手に責任はありますが、首脳陣も無策です。機動力で揺さぶったり、配球面での狙いが見られない。同じやり方でやられる繰り返しで淡々とアウトになる。阪神バッテリーに限った話ではないですが、相手チームからすれば巨人打線は1発にだけ気をつければよい。本調子ではない中田翔、丸佳浩を起用し続けるベテラン優遇の方針も疑問符がつく。特に中田はスイングがおかしい。コンディションを整えるためにファームで調整したほうがいいのではないか」(スポーツ紙デスク)
攻守の中心だった坂本勇人が6月下旬に右大腿二頭筋長頭肉離れで戦線離脱。中田も6月の月間打率.206、1本塁打、4打点と調子を落としている。5月上旬に右太腿肉離れで離脱し、全治1か月以上かかるとみられたが、3週間で一軍に復帰。驚異的なスピードだが万全の状態には程遠いように見える。
他球団のトレーナーは、「3週間は早すぎますよ。中田の走り方を見ると患部に不安があるのだと思います。下半身のケガは走塁だけでなく、打撃のメカニズムにも影響する。タイミングを取る際にタメが作れないので手打ちみたいなスイングになる。一度狂ってしまうと元に戻すのは難しい」と指摘する。
丸も調子が上がってこない。打率.231、9本塁打、21打点と好不調の波が激しく、得点圏打率.167と勝負強さが鳴りを潜めている。対左投手は打率.194で左腕・伊藤将が先発した1日の阪神戦はスタメン落ちしたが、原監督は復調の道を探っている。
中田、丸が実績十分のベテランであることは間違いないが、ファームには起用する価値がある選手たちが控えている。ドラフト2位・萩尾匡也はイースタンで打率.339、4本塁打、26打点をマーク。大卒2年目の岡田悠希も打率.299、5本塁打、17打点と打球に力強さが増している。だが、二軍で結果を残しても一軍からなかなか声が掛からない。石川は今季一軍出場なしのまま前述の通りトレードされ、萩尾、岡田も4試合出場のみだ。