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リスクを伴う「降圧剤」の服用 水分不足になりやすい夏場は特に「血圧の下げすぎ」に注意

「降圧剤」の服用方法にも注意点が(イメージ)

「降圧剤」の服用方法にも注意点が(イメージ)

 自宅で正しく測るなどすれば血圧が正常なのに、健診などでの「高血圧」に判断を引きずられてしまうことがある。服薬や生活習慣の制限によって数値を無理やり下げようとすると、かえってリスクのほうが大きくなる。

 上昌広医師(医療ガバナンス研究所理事長)が言う。

「例えば白衣高血圧の人が血圧を薬で下げすぎると、だるくなったりふらついたりして危険です。大事な視点は、その基準が人によってケース・バイ・ケースだということ。上の血圧を90台に下げても大丈夫な人もいれば、110くらいでふらつく人もいます。全員が厳密に基準値に合わせる必要はありません」

 内科医の谷本哲也氏(ナビタスクリニック立川)は、かつて降圧剤を飲み忘れた患者が元気になった例を見たことがあるという。

「降圧剤の服用により、体調に影響が出るケースは少なくありません。なかでも多いのが、薬が“効きすぎる”ことによる悪影響です。『年齢のせいで体力が衰えた』と感じていた人が、降圧剤の服用をやめたことで元気になった、というケースもあります。歳を重ねると肝臓や腎臓が衰えて薬の成分を代謝・排泄する機能が低下するため、高齢者ほど、そうした薬のリスクには注意しなければなりません」

 降圧剤の副作用で「なんとなくだるい」と感じて終わるなら、まだ幸運なほうだ。

「高齢者にとって、血圧が下がりすぎることによるふらつきからの転倒は、骨折のリスクを高めます。打ちどころが悪ければ、外傷性頭蓋内出血を起こすリスクも。そのように、数値を下げすぎるリスクは血圧だけでなく、血糖値も同様です」(同前)

 血糖値の下げすぎは、場合によっては命に関わることもある。日本糖尿病協会療養指導医の石原藤樹医師(北品川藤クリニック院長)が言う。

「自律神経の働きが低下している高齢者は低血糖の症状が現われにくく、本当に意識がなくなるまで、自分も周囲も気付くことができません。脳梗塞の発作だと思われて救急搬送された方が、『実は低血糖だった』というケースは少なくないのです」

 自宅で発作を起こして急に倒れても、家族がいれば救急車を呼んでもらえるが、そうでない場合は実に危険だ。

「一人暮らしの高齢者が入浴中に低血糖を起こして意識がなくなれば、そのまま湯船に沈み込んで溺死する可能性もあります。風呂で溺れなくても、重度の低血糖状態が長く放置されれば昏睡状態に陥り、最悪、死に至る可能性があります」(同前)

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