芸能

市川猿之助容疑者、背景に見えた「もう歌舞伎なんてやりたくない」の気持ち それでも復帰願う歌舞伎界の違和感

猿之助容疑者

猿之助容疑者逮捕に復帰願う歌舞伎界

 6月27日、母親(享年75)への自殺幇助容疑で逮捕された市川猿之助容疑者(47才)は連日、取り調べを受けているとされる。歌舞伎役者の父・市川段四郎さん(享年76)と母の死因は、司法解剖の結果、向精神薬中毒の疑いとされ、両親の遺体からは、猿之助が処方されていた2種類の睡眠導入剤の成分が検出された。

 本誌『女性セブン』は、事件当日の発売号で、猿之助のセクハラ・パワハラ行為を報じた。本誌報道に対しては、猿之助は口をつぐんだままだ。

「たしかに、猿之助は数少ない『客を呼べる役者』でした。名門の御曹司として生まれ、幼少から“才能あふれる”などと賛美され、ちょっとやそっとのオイタは許されてきた。実際、近しい歌舞伎関係者には、“おれは何をしても許されるんだ”と口癖のように言ってきました。要は、ずっと甘やかされて、好き勝手やってきたんです。

 それなのに、自分の不遜な行動を指摘された途端、“自殺して輪廻転生する”などと口走り、見境がなくなって短絡的な凶行に走った」(歌舞伎関係者)

 猿之助のそんな行いを棚に上げ、「余人に代えがたい才能が失われた」「歌舞伎界はスターを失って大きな損失」などと猿之助擁護のコメントを繰り返す歌舞伎評論家や歌舞伎ファンは少なくない。一方、違和感を拭いきれない関係者も多いという。

「猿之助さんにとって歌舞伎は結局、それほど大切なものでもなく、あっさり捨てられるほどのものだったと見せつけられた気がしています」(別の歌舞伎関係者)

 2011年9月の襲名会見で、猿之助は次のように語っていた。

「猿之助という名前は、ぼくの中では神様に等しい憧れの名前でした。『継がせていただきます』というのが、恩返しになればいいという思いで受けました。でも、いちばんの念頭にあるのは、襲名を通して、個人ではなく、歌舞伎というものを末永く守りたい」

 澤瀉屋関係者が話す。

「それも結局は口だけでした。一連の事件のなかで、そうした責任感など一片も見られなかったどころか、歌舞伎に前代未聞の大きな泥を塗ることになってしまった。セクハラやパワハラがあったのなら真剣に向き合って、被害者への謝罪を含めて行動すれば、いくらでも舞台を続けられるチャンスはあったでしょう。歌舞伎界ほど、カムバックに寛容な世界はありませんから。被害者も歌舞伎の将来を思えばこそ、警察に被害届を出さずに告発でとどめたのだとも聞きました。

 それなのに、いきなりの事件です。ハラスメントが明るみに出た羞恥心だけで“一家心中”してしまうとは……。“もう歌舞伎なんてやりたくない”という気持ちが行動に出た。残念でなりません」

 事件直後に猿之助は「チケットが売れる役者」と持ち上げられていたが、勢いのある若手や大ベテランの名優たちに比べ、人気に陰りが出てきていたことは、本人がいちばんわかっていたという。

「空席が目立つ歌舞伎の舞台に立ち続けることから逃げるように、映画やドラマに走っていました。そして生活がどんどん派手になっていったんです」(前出・澤瀉屋関係者)

ホテルの前の海岸にて。屋外にもかかわらず、下着姿で記念撮影する猿之助

ホテルの前の海岸にて。屋外にもかかわらず、下着姿で記念撮影する猿之助

 それでも歌舞伎界では、猿之助の復帰待望論が後を絶たない。「舞台に立つのは無理でも、演出やスーパーバイザーのような立場で」といった意見まで出ている。

「猿之助さんは、歌舞伎の世界から『自分で退場』したわけです。にもかかわらず“天才的な歌舞伎役者”などといまだに賛美されているのは理解しがたい。不本意ながら、いま歌舞伎は注目を浴びたことで客入りは悪くありません。新たな“スター”も生まれつつある。だからこそ、いまのうちに膿をすべて出すべき。ハラスメントをうやむやに、なかったことにしないでほしい」(前出・別の歌舞伎関係者)

 本当に歌舞伎を愛する人々の思いは届くのか。

※女性セブン2023年7月20日号

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