東京都心がうだるような暑さに包まれた7月3日、芸術の分野で優れた業績をあげた人の「日本芸術院賞」の授賞式が、日本芸術院会館(東京・台東区)で行われた。当初、天皇陛下のみがご臨席の予定だったが、皇后雅子さまもお出ましになった。
「芸術院賞の授賞式は、『日本学士院賞』と並んで、陛下にとって重要な公務です。6月12日の学士院の授賞式にも雅子さまは出席され、今回も体調がよろしかったので、お出ましとなったのでしょう。雅子さまは、工芸家の受賞者と懇談され、“少しだけ陶芸をやったことがあります”と、ご自身の体験をもとに話されていました」(皇室記者)
だが、水面下では雅子さまのご臨席を危ぶむ声もあった。
「両陛下は、6月23日まで国際親善のためインドネシアを訪問されました。雅子さまにとって、国賓として海外に足を運ばれるのは、皇室入りしてから初めての経験でした。皇太子時代から何度も海外に行かれている陛下でさえ、公式訪問はとても重圧を感じられるものだそうです。それだけに、日程に余裕をもたせたとはいえ、療養中の雅子さまがご帰国後に『過度な疲労感』を訴えられないか、心配する声が囁かれていました」(前出・皇室記者)
かつての雅子さまであれば、公務にお出ましになるとその後、「一定の休息期間」がどうしても必要だった。しかし、帰国から5日後の6月28日には、上皇ご夫妻へのご挨拶のため、赤坂御用地内の仙洞御所に足を運ばれた。冒頭のように授賞式に出席された点からも、心配は杞憂だった。
雅子さまの快復ぶりは、インドネシア訪問の準備段階から約束されたものだった。その理由を、放送作家のつげのり子さんが、雅子さまの「ファッション」から読み解く。
「インドネシア訪問は大成功と言っていいと思います。フォーマルな場とカジュアルな場で、パールのネックレスを使い分けられたりして、雅子さまのお人柄が伝わりました。
滞在中、雅子さまはいくつかのお召し物を披露されましたが、印象深かったのは、インドネシア到着時にお召しになっていた薄いパープルのスーツです。ちょうど、日本はあじさいの花が美しい時期です。あじさいは日本原産の花なので、インドネシアに到着した飛行機の扉が開いてお姿を見せられるときに、“日本からやってきました”というメッセージを込められたのではないでしょうか」
このスーツは、今回の訪問のため新調されたとみられる。
「ほかにも、今回の訪問にあたって新たに制作された洋服が複数見受けられました。海外公式訪問は、相手国の行事の性質や格にふさわしい服装が必須です。そのため、特に女性皇族は、洋服を新調して臨まれることが多い。国内の地方行幸啓に比べて予算が大きいことも、洋服を新調しやすい理由の1つです」(皇室ジャーナリスト)
雅子さまは、インドネシアの独立戦争で命を落とした人たちの英雄墓地を訪問された。その際には、暑さを和らげるような淡いグレーの、袖口にレースがあしらわれた落ち着いたデザインのスーツをお召しだった。一方、宮殿での歓迎行事や午餐などにはペールブルーのスーツ、在留邦人の代表らとの接見では光沢感のあるエレガントなセットアップドレスだった。