臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、坂口憲二(47才)の芸能活動復帰を印象づけた2つのCMが与えたビジュアル情報について。
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サントリー生ビールのCM「海のために生きる人」篇が7月1日からテレビ放映された。出演しているのは、俳優の坂口憲二さん。今回のCMは3月に公開されたサントリー生ビールのCM「生きている人々」篇を、坂口さんバージョンに変えたものだが、この「ビジュアル情報」が効果的だった。
坂口さんは2018年3月、厚生労働省指定の特定疾患「突発性大腿骨壊死症」を発症し、無期限で芸能活動を休止。その姿をメディアなどで見ることはなくなった。その後、活動休止中にコーヒーの焙煎士になり、千葉県の九十九里でコーヒースタンド「ザライジングサンコーヒー」を開業、メディアでも取り上げられた。そのHPには、焙煎士(ROASTER)として「初めまして、ザライジングサンコーヒーで焙煎を担当しています、坂口です」というコメントの横に添えられているのは日焼けした笑顔。大好きなサーフィンとコーヒーに囲まれ、素敵な時を過ごし元気を取り戻していることを感じさせるような笑顔だ。
そしてこの3月、サントリー生ビールのCM「生きている人々」篇にサーフボードを手に出演。CM発表会時に送られたVTRメッセージでは、「CMでは海の男を演じさせていただきました。ほぼほぼ素の自分でした!」と笑みを見せた。人気ドラマとしてシリーズ化された『医龍-Team Medical Dragon-』(フジテレビ系)で天才外科医・朝田龍太郎を演じていた頃と変わらずカッコよく、休業していた間にさらに磨きがかかった内面からにじみ出てくる魅力が加わっていたのだ。
それでも、日本のどこかで生きるみんなの物語というテーマのCMには、山崎賢人さん、上白石萌音さんらも出演。CM映像として流れたビジュアル情報には、三者三様、それぞれの日常における様々なシーンで構成されていた。ビジュアルは目に見えるさまや、視覚的であるさまという意味であり、ビジュアル情報は視覚的情報である。そのためか、坂口さん復帰に対する印象はそれほどインパクトが強いものではなかった。印象としては「元気になって、これから少しずつ活動を再開していくのだな」という感じだった。