安倍晋三・元首相が街頭演説中に凶弾に倒れてから、7月8日で1年を迎える。安倍氏の一周忌を前に、自民党最大派閥・安倍派では後継会長人事をめぐって混乱が続いている。
派内には、有力な後継者候補として萩生田光一・政調会長や、西村康稔・経産相、松野博一・官房長官、世耕弘成・参院幹事長、長老の塩谷立・会長代理らのライバルがひしめき、互いに牽制し合っている。
そこで本誌・週刊ポストは安倍派所属の衆参議員(元職含む)108人に「誰が会長にふさわしいか」と「その理由」についてアンケートを行なった。
有効回答はなんと8人。結果は匿名で萩生田氏に1票。理由に「決断力と実行力」が挙げられていたが、他は「回答できない」「回答は控える」というものだった。あとの100人からは回答がなかった。
北海道選出の堀井学・代議士の回答からは、派内の困惑ぶりがうかがえる。会長にふさわしいのは「幹部の方の話し合いで決めた方」、理由は「後輩が困らないから」というもの。
宮城選出の土井亨・代議士は回答できない理由がより具体的だ。
「派閥が一丸となるために、会員の理解と協力が得られるような選出方法が必要だと思います。その選出方法がまだ決まっておらず、軽々に応えさせていただくことは控えさせていただきます」
自民党の最大派閥の跡目問題は、総理・総裁の座にも直結する。それだけにかつてはカネが飛び交い、足を引っ張り合い、派内の血なまぐさい権力抗争が繰り広げられるのが常だったが、それとは状況が全く違っている。
安倍派の所属議員は100人と党内では圧倒的な勢力だが、その実態は、「寄らば大樹」の議員の寄せ集めという実態が浮かんでくるのである。
※週刊ポスト2023年7月14日号