香港政府は7月3日、国外に逃れた民主化活動家8人について、拘束につながる情報に1人あたり100万香港ドル(約1800万円)の懸賞金をかけると発表した。
香港では2019年の大規模な民主化デモ以降、当局による民主化活動家への取り締まりが厳しくなっており、2020年6月30日には「香港国家安全維持法」(国安法)も施行された。懸賞金をかけられた8人は、外国勢力と結託した疑いで指名手配されている。有罪の場合、最高で無期懲役となるとみられる。
世界的にみると米国などは極めて凶悪な犯罪について懸賞金を出している。例えば、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを引き起こした過激派テロ組織、アルカイダのリーダー、アイマン・ザワヒリ容疑者には2500万ドル(35億円)がかけられた。同容疑者はアルカイダ創設当初からテロ活動に関与し、1997年に日本人10人を含む63人が殺害されたエジプトのルクソール事件にも関わっていた。同時多発テロ以降は姿をくらましていたが、2022年、米軍によって殺害された。
日本の場合は警察庁が「捜査特別報奨金制度(公的懸賞金制度)」として、300万円を支払う制度を設けている。ただし、特に必要があると認める場合には1000万円を超えない範囲内で増額される。応募の期間は原則として1年間。ただし、特に必要があると認める場合には、期間が延長または短縮されると定めている。
香港の場合は、懸賞金の対象が凶悪な犯罪者ではなく民主化活動家であることや、懸賞金がかけられる期間が無期限であることなど、他国の事情とは大きく異なっている。米国務省は7月4日、香港版国家安全保障法の域外使用は「世界中の人々の人権と基本的自由を脅かす危険な前例である」などと批判している。