新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきた北朝鮮では、市民の間で中国語学習ブームが広がっている。自治体の図書館などが開設している外国語講座では、中国語講座が人気ナンバー1で、受講者は毎回定員を超えるという。中国とは国境を接しており、ビジネスチャンスも多いことも大きな動機になっている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮では2008年、小学校3年生から英語の授業が始まり、高校卒業まで学ぶことになっている。ロシア語の授業もあったが、2013年になくなり英語に統一された。しかし、英語はいまや「敵性語」扱いで、使う機会がまったくないため、単に試験科目として勉強されているのが現状だ。
この点、北朝鮮国民にとって中国語は生活に密接に関わっている。中国では新型コロナウイルスの感染拡大前までは中朝国境沿いの鴨緑江でのクルーズツアーが大人気だったが、感染拡大も収まり、相互の人観光客の受け入れも間近といわれている。
また、中国に住む親戚訪問の再開も時間の問題で、中国語を使う機会が今後多くなることが予想される。
このため、各自治体の図書館などで開設されている外国語講座のなかでも中国語を選ぶ市民が多く、募集するとすぐに定員が埋まってしまうという。
国連安全保障理事会の制裁下にあっても、確実に外貨稼ぎができる観光業に活かせる中国語の需要は高まっている。
ビジネスだけでなく情報収集でも中国語は重宝されている。北朝鮮では外国語放送を聴くことは原則的に禁止されているが、中国語放送は特別のようだ。北朝鮮国境の新義州市や恵州市では中国語のラジオ・テレビ放送が視聴でき、市民は世界のニュースなどを知ることができるという。