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睡眠薬にはふらつきによる転倒や依存性のリスクあり 医師の本音は「薬に頼らない睡眠を」

不眠で睡眠薬を使う場合は注意が必要(イメージ)

不眠で睡眠薬を使う場合は注意が必要(イメージ)

 健康保険組合の加入者約19万人の健診データやレセプトを解析した調査によると、睡眠薬の処方率は高齢になるほど高いことがわかった(2016年、インテージテクノスフィア調査)。

「睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量は加齢とともに減少し、40代以降はピーク時(思春期前の9~10歳)の6分の1以下になります。だから高齢になるほど眠りにくくなる、または深く眠れなくなるのです」

 そう話すのは『ぐっすり眠る習慣』(アスコム刊)の著者で、睡眠専門医の白濱龍太郎医師(RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長)だ(以下、「 」のコメントは白濱医師)。

 これまで延べ約2万人を診てきた白濱医師だが、不眠で睡眠薬を使う場合は注意が必要だという。

「医療機関で処方される睡眠薬のうち、ベンゾジアゼピン系薬は筋弛緩作用があり、ふらつきによる転倒リスクがあります。これを服用する高齢の方は、目が覚めてトイレに行く時はもちろん、薬の成分が体内に残っている可能性のある午前中も注意が必要。さらに、ベンゾジアゼピン系薬は依存性もあります」

 最近は薬の改良が進み、副作用や依存症の少ない非ベンゾジアゼピン系やホルモン受容体作動薬などが増えてきたが、「できれば薬に頼ってほしくないのが本音」だという。

「不眠に悩む人は、安易に薬に手を伸ばすのではなく、まずは食事や生活リズムの改善に目を向けてほしい。すでに睡眠薬を服用している人も眠りが改善し、薬を卒業できる可能性があります」

 眠りを改善する取り組みの前提としてまず「入眠後4時間以内に『深睡眠』をとること」の重要性を理解しておきたい。

「睡眠には、身体が休んでも脳が動いて情報の整理や定着を行なうレム睡眠と、身体も脳も休むノンレム睡眠があります。ノンレム睡眠のなかでも最も深い『深睡眠』は、眠りに落ちてから4時間以内に訪れる最初と2回目のノンレム睡眠でとりやすい。逆にそこで深睡眠がとれないと、何時間寝ても心身の疲労は取れず、目覚めもスッキリしません」

 朝目が覚めるまでの間、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは4~5回ほど繰り返される。短時間しか眠れない場合は、睡眠周期の最初のノンレム睡眠でどれだけ深く眠れるかが大切になるという。

「深睡眠をとるには、人間が最も眠くなる時間帯に寝付けるよう『体内時計』のリズムを合わせ、眠気を左右する『深部体温』を就寝時にしっかり下げることが重要です」

※週刊ポスト2023年7月21・28日号

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