広末涼子や篠田麻里子など受賞者たちの相次ぐスキャンダルで“呪われている”とも揶揄される「ベストマザー賞」。そこで本誌・週刊ポストは正真正銘の「ベストマザー女優」を決めるべく、50歳以上の男性1000人を対象に大規模アンケートを敢行した。
24時間ずっと母親
堂々の1位に輝いたのは吉永小百合。映画評論家の秋本鉄次氏も納得の表情だ。
「私生活では吉永さんにお子さんはいませんが、劇中では“しっかり者のお母さん”を好演してきた。“理想の母親=吉永小百合”というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか」
アイドル評論家の中森明夫氏は、ドラマ『花は花よめ』(日本テレビ系・1971年)での吉永が最も印象的だったと語る。
「元芸者で、花屋を営む男性の後妻となり、血のつながらない子供たちの母親として奮闘する。当時、吉永さんは20代で初めての母親役。私は11歳でしたが、“こんなお母さんがいたらいいなぁ”“授業参観や父母会で同級生たちに自慢できるだろうなぁ”と思っていました(笑)」
2位に八千草薫、3位には市毛良枝が続く。
「八千草さんの作品で忘れられないのが、『岸辺のアルバム』(TBS系・1977年)です。それまでの良妻賢母のイメージを覆し、不倫に走る主婦を演じた。ドラマのラストは川が氾濫して家が流されてしまうという、家庭の崩壊を象徴する終わり方でした。
一方、市毛さんは“この人は道を外さないだろう”というような堅実なイメージがありますね。何一つ演技に外れがない」(秋本氏)
名だたる女優に肉薄し、4位に食い込んだのが京塚昌子。ドラマ『肝っ玉かあさん』(TBS系・1968年)で演じたのは、どんなことがあっても笑い飛ばして逞しく生きる母親の姿だった。
「京塚さんや加藤治子さん(5位)が演じていたのは、まさに“昭和のお母さん”そのもの。24時間ずっと母親であり続け、家事や育児に追われていた。いまでは時代錯誤かもしれませんが、子供が夕方に家に帰ってくると、トントンと包丁の音がして、割烹着を着たお母さんが夕食の準備をしていた。そうした母親像にノスタルジーを感じている人たちが1票を投じたのでしょうね」(中森氏)