芸能

寺島しのぶが歌舞伎座の舞台に 歴史的な一歩の陰でくすぶる火種「ピリつく弟・菊之助」「共演者・獅童への不安」

寺島しのぶと菊之助らとの関係は

寺島しのぶと菊之助や獅童らとの関係も注目される

 歴史と伝統、格式を重んじる歌舞伎の世界で、これまではメインストリームを歩むことができなかった女性たち。歌舞伎の名門に生まれ、歌舞伎に憧れた女優がいま、その歴史に大きな風穴を開けようとしている。

 市川猿之助容疑者(47才)が母親(享年75)への自殺幇助容疑で逮捕されてから2週間あまり。猿之助ショックに揺れる歌舞伎界の中で、救世主になるかもしれないのが女優・寺島しのぶ(50才)だ。文化部記者が語る。

「歌舞伎座で行われる『十月大歌舞伎』の重要な役柄に、寺島さんが抜擢されることになったんです。女人禁制の長い歴史を持つ歌舞伎座の舞台に、メインキャストとして大人の女性があがるのは史上初。これは歴史的快挙です」

 十月大歌舞伎の寺島が出演する演目は「文七元結」。腕のいい職人だが、酒と博打が大好きな左官の長兵衛とその娘で父思いのお久、訳あって橋から身投げしようとする奉公人の文七などが織りなす人情噺である。メインキャストとして寺島と中村獅童(50才)がタッグを組むという。

 人間国宝である父・菊五郎と母・富司純子(77才)、弟は尾上菊之助(45才)という歌舞伎の超名門「音羽屋」の長女として生まれた寺島。幼い頃から歌舞伎漬けの毎日を送り小学校入学前に「私も歌舞伎役者になる」と決めたが、成長するにつれて夢が叶う可能性がゼロであることを悟る。20年前のインタビューで寺島はこう述べた。

《やりたいことが絶対にできない。挑戦する機会さえ与えられない、というのはちょっとつらい。その後の私の人生は、その夢をあきらめるためにありました》

 一方、6才で初舞台を踏んだ弟の菊之助は一門の期待を一身に背負った。疎外感を募らせた寺島は19才のとき、女優の太地喜和子さん(享年48)から「あなた、悲しそうな顔をしているわよ」と言われたことをきっかけに文学座の門を叩いた。

「それまで『あなたは恵まれている』としか言われてこなかったしのぶさんは、秘めていた本当の自分を太地さんに見抜かれ号泣し、彼女の勧めで女優の道を歩み始めました」(寺島の知人)

 プライベートでは「高麗屋」の御曹司の松本幸四郎(50才)と長くオープンに交際するも、幸四郎は2003年に資産家令嬢との婚約を発表した。裏切られた寺島は雑誌のインタビューで元恋人を「バンパイア」と呼び、話題を集めた。

「“切っても切り離せない仲”として、幸四郎さんを吸血鬼になぞらえました。不誠実な幸四郎さんの結婚には菊五郎さんも激怒したとされます。つらい経験を糧にしのぶさんは映画『赤目四十八瀧心中未遂』や『ヴァイブレータ』で激しい濡れ場を演じ、名家の娘というイメージを一掃して、女優として一皮も二皮も剥けました」(前出・寺島の知人)

 2007年2月、寺島はフランス人のローラン・グナシア氏と国際結婚し、結婚報告会見で「男の子が生まれたら歌舞伎役者にしたい」と語った。5年後、念願の長男・眞秀を出産すると自らの夢を息子に託すため奔走する。

「しのぶさんは菊五郎さんの家に足しげく通い、眞秀くんに稽古をつけてもらっていました。菊五郎さんもしのぶさんの懸命さと眞秀くんのひたむきさに感心し、熱心に歌舞伎を教えるようになりました。眞秀くんに大いに期待をかけて、音羽屋の大名跡である『梅幸』を継がせるかもしれないと発言したこともあります」(前出・寺島の知人)

 今年5月、眞秀は歌舞伎座で初代尾上眞秀の名で初めての舞台を踏み、菊之助、團十郎ら豪華な顔ぶれの中で堂々たる演技を披露した。このとき、歌舞伎座の正面入口には和服姿で満面の笑みを浮かべる寺島の姿があった。

「息子の眞秀くんに自らの夢を叶えさせたしのぶさんは、万感の思いで初日を迎えました。しかも、秋には息子に続いて自分も歌舞伎座の舞台に立てるなんて、彼女にとっては無上の喜びでしょうね」(前出・寺島の知人)

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