臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、去就に注目が集まるMLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(29才)について。
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「秘密です」と答えられると本当はどうなのか、ますます気になってくるのが人間だ。MLBオールスター戦前の会見で、「他チームから来年、来てくれという誘いがあったか」と記者に聞かれ、エンゼルスの大谷翔平選手はそう言いながら笑顔を見せた。
トレードの期限は7月末。それまでにエンゼルスから放出されず、2023年オフに契約の延長をしなければ、大谷選手はフリーエージェント(FA)となる。FAについては「まだ全然わからないことなので」と語った大谷選手だが、移籍先の可能性を指摘する声は高まり、情報番組もスポーツ番組もこの話題で持ち切りだ。
色々な説が飛び交っているが、どんな結果になろうと「後知恵バイアス」が働くことが予想される。後知恵バイアスとは、結果を知ったときに、それがあたかも最初から予想できていたかのように考えてしまう傾向のことだ。
大谷の去就が話題になるのは初めてではないが、今回ばかりは現実に動きがあるのではとみられ、話題にあげる人たちも真剣だ。それというのも7月に入ってからエンゼルスは1勝7敗で負け越し連敗続き。7月8日のドジャース戦では、大谷選手が今季32号となる本塁打を打つ活躍ぶりを見せたものの、チームは5-10で敗れ。チームの目標であるプレーオフ進出も遠のきつつある。普通に考えれば、スポーツ選手の一番の目標は個人競技であれチーム競技であれ優勝だ。大谷選手もプレーオフへの思いを聞かれ、「年々強くはなっていますね。それは負ければ悔しいし、行けなかったら悔しいというのはその通りなので。優勝したことがない以上は優勝したいと思うのが自然かなとは思います」と答えている。
その思いは大谷ファンも同じだろう。エンゼルスというチームは好きだが、個人的には優勝争いに絡むチームで活躍する姿を見たいし、2023WBC、アメリカとの決勝戦、最終回のマウンドに上がり、最後のバッター同僚のトラウト選手から三振を奪い、グラブと帽子を放り投げて感情を爆発させたあのような光景を、メジャーリーグのマウンドでも見たいと思う。