放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ヒコロヒー、ナイツ塙、沢田研二、立川談春について綴る。
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会いたい人に直接会って話をきけるのがラジオパーソナリティのいいところ。唯一無二の芸風で“やさぐれ界”を今突っ走るヒコロヒー(松竹芸能をひとりで支える)に初めて会った。「寝起きで来た?」「夜に会ってもこんな感じです」には笑った。
大学の後輩がせいや(霜降り明星)。私がラジオでやたらせいやを誉めたことがあった。「昭和の芸能」を愛して詳しくて研究しててと絶賛。あの若さで偉いと同じ大衆芸能好き同士心強く感じた。この話をヒコロヒーがラジオで聞いててすぐにせいやに「文夫センセが誉めてたで」と言おうとしてもいつも話し中。数日後やっと出たので「あのな高田センセが」「いやっそれどころじゃないんで。彼女がどこかへ行ってしまって。ああどこ行った~~ッ」せいやは学生時代から“恋愛依存症”だったと言う。一度せいやにも会ってみたい。
身近なお祝いごとが続いて嬉しい。ナイツ塙(45歳)が漫才協会の会長になったのだ。塙の長年の協会、浅草への貢献が認められた。塙の師匠だった内海桂子、そして続いた青空球児。このあとを受けての若き会長である。これで漫協も一気に若返り活性化が期待できる(そう思う私は漫才協会外部理事)。
互いにニッポン放送で生番組を持っているのでいつもすれ違う。「協会に対するビジョンとかあるかね?」そこはシャレのきつさは当代一、ひと筋縄では行かない塙「そうですね、時代に逆らうパワハラ、セクハラの推進。スベッたら即クビ。そして怖い人達から回ってくる闇営業の獲得……って、そんな訳ないでしょ。冗談でもこんなこと言ったり書いたりしちゃダメなんですから」と真顔になった会長。会長の権限を「ヤホー」で調べてみよう。
沢田研二、75歳コンサートも大盛況でした。めでたし。なんたって“さいたまスーパーアリーナ”に2万人がつめかけたんですから同い年としては感無量。ステージでジュリーは叫んだ。「今日から後期高齢者です。保険証だけは残して欲しい」。まったくだ。
嬉しいことは続くもので談春から銀座の寿司屋への御招待。談志に入門して私にくっついて40年。あの時の少年が気がつきゃ「大河」まで出てる。野末陳平(91歳)と共に様々な想いを胸に食べる。こんな姿天国の談志が見たらどんな想いをするだろう。こうしてみんな大人になってゆく。
※週刊ポスト2023年7月21・28日号