警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、会社員のように働くようになったというヤクザの仕事の移り変わりについて。
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「最近、普通の会社員なんですよ」と、暴力団幹部が席につくなり言い出した。以前から「ヤクザ本来のシノギができなくなって、稼げない」と嘆いていたので、とうとう彼も覚悟を決めたのかと思った。
“ヤクザ本来のシノギとは”と尋ねた時「恐喝」と即答された。見るからにヤクザとわかるような風貌の幹部に睨まれ、すごまれたら、ヤクザと関わりなく生活している人々はそれだけで縮み上がるだろう。それをわかっているのか「俺たちだって、言葉使いは相手や状況によって変える」と話す幹部は、「人の弱みや秘密を握って、金や物を要求するのが恐喝。恐喝する時は相手を恫喝するが、ヤクザは恫喝しただけで脅迫罪に問われることもある。堅気相手に”てめぇ、このヤローまで”はいいが、”ぶっ殺すぞ!”と言った途端、脅迫罪になるだろう。だから堅気への言葉遣いは丁寧に、嫌われないよう怖がられないようにが基本だね」と話す。
言葉遣いを丁寧にすれば脅迫罪に問われない、というのはあくまで彼の認識だが、彼らがシノギとして行っていた恐喝は、暴対法や暴排条例によって暴力団排除が浸透し、何かあればすぐに通報されるようになった。さらにコロナ禍で会社や店が休業し働き方も変わり、狙うターゲットを探せなくなったのだ。「今までのような稼ぎ方だけではヤクザの世界も食べていけない」というのが、ここ最近の彼の口癖だった。
ヤクザを辞めても仕事ない
警察のいうヤクザのシノギは、賭博や違法薬物の売買、みかじめ料に人身売買といったもので、これらを伝統的資金源と呼んでいる。幹部のいる組では恐喝、詐欺、みかじめ料の徴収が主な資金源だったが、それも変わりつつあるらしい。「地上げに関わったり、産廃を手伝ったり」。賭博も様変わりし「昔ながらの賭場を見ることはほとんどない。それに賭場は新参者が手を出せるようなものではない。今の若いヤツらがいう賭博といえば、オンラインカジノやサッカーやボクシング、野球賭博や相撲賭博。テキヤは時期が決まっているし、クスリはやらない」(幹部)。