マイナンバーカードをめぐるトラブル続発で、最大の戦犯として河野太郎・デジタル担当相の責任を問う声が日に日に強まっている。だが、当の本人は“どこ吹く風”のようだ。
こんなにも期待を裏切られると、心底、ため息をつきたくなる。国民はそんな気持ちだろう。河野氏のことである。
マイナンバーカードについて「個人情報が流れ出ることはない」としきりに安全・安心を宣伝し、問題が発覚しても、「システムに起因した問題ではない」「新しい誤登録というのは起きない」と自信満々に語っていたが、その後もトラブルは止まらず、国民のマイナ不信はいまや頂点に達している。このデジタル通の大臣は役所のマイナ登録手続きで数多くのヒューマンエラーが起きていることなど想像できずに楽観視していたようなのだ。
挙げ句は、「責任は大臣たる私にある。何らかの形で私に対する処分をやらなければいけない」と高飛車な謝罪をした。かと思うと、政府が8月上旬までに問題の原因を洗い出すために急遽設置したマイナンバー情報総点検本部の本部長に就任しながら、点検作業のさなかに北欧諸国(7月12~16日)やイスラエル(同17~22日)などを外遊し、10日以上も国を留守にしたのだ。
「デジタル化で先行する国の視察」という説明だが、「国内のマイナ問題の不安を解決するのが先だろう」と自民党内からもその無責任ぶりが批判を浴びている。
問題発覚当初から、大臣の言動はおかしかった。マイナンバーに別人の銀行口座が紐づけられていた問題やマイナ保険証の誤登録が発覚した直後の5月26日、河野氏は記者会見で「デジタル庁としての感度が低かったことはお詫び申し上げないといけない」と謝罪した。
だが、その2日後の5月28日、日本ダービーが行なわれた東京競馬場に河野氏の姿があった。JRA関係者が語る。
「河野さんは実弟の二郎さんとVIP席でダービーを観戦しておられましたよ。観客席とは別の競馬関係者からしか見えない席だったと思います。ダービーに二郎さんが代表を務めるグリーンファーム愛馬会が所有する3歳馬のハーツコンチェルトが出走したので、応援に来たのでは。その馬は河野家としては待望の『ダービー出走馬』で、一家の期待も高いと聞いています」
河野家は代々、「那須野牧場」などを経営する馬主として知られ、河野氏の父・洋平氏(元衆院議長)は日本軽種馬協会会長を務めている。ハーツコンチェルトはこの日のダービーでは3着に入着した。
マイナ問題が大荒れのさなかに競馬観戦とは、感度が低いのはデジタル庁の役人より大臣のほうではないのか。
本誌・週刊ポストが河野事務所に競馬観戦について確認を求めると、「休日のプライベートな行動に関してのコメントはしておりません」と回答した。
※週刊ポスト2023年8月4日号