7月20日(日本時間、以下同)、サッカー女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会が開催した。今大会は出場国が32か国に拡大され、8月20日まで熱戦が繰り広げられる。日本代表(なでしこジャパン)は、今年2月に行なわれた国際親善大会で東京五輪(2021年)チャンピオンのカナダを撃破するなど、2011年ドイツW杯以来の優勝に期待がかかっている。
世界ランク11位のなでしこジャパンはグループCに属し、22日にザンビア代表(77位)と開幕戦を戦う。その後は26日にコスタリカ代表(36位)、31日に強豪・スペイン代表(6位)と対戦。グループステージ上位2チームがノックアウトステージ(決勝トーナメント)に進出できる。
そんななでしこメンバーのなかで世界から熱視線を向けられている選手がいる。海外メディアが選ぶ「世界最注目の若手9人」に日本から唯一選出されたMFの藤野あおば(19、日テレ・東京ヴェルディベレーザ)だ。2022年に行なわれたU-20W杯の準優勝メンバーでもある。
今大会のなでしこジャパンのチーム平均年齢は24.8歳。藤野はひときわ若いが、W杯前最後の対外試合となった7月14日の「MS&ADカップ2023」のパナマ代表戦では、右足で代表初ゴールを決める活躍を見せた。サッカージャーナリストの財徳健治氏が語る。
「2011年のW杯で得点王に輝いた澤穂希(44)に憧れて練習に励んだ世代で、藤野には早くも“第二の澤穂希”との呼び声も出ている。なでしこジャパンの池田太監督はU-20の監督も兼任していましたが、その時から藤野に目をかけており、昨年10月に代表に初招集するとチャンスを与え続けている。期待の大きさがうかがえます」
♦父親は元ボクサー
藤野は幼稚園の年長の時に兄の影響でサッカーを始め、名門・十文字高(東京都)時代に日テレ・東京Vに特別指定選手として登録。2022年1月から正式にチームに加入したが、それと同時に法政大学スポーツ健康学部に通う学生でもある。そんな多忙な藤野を支えてきたのが両親だった。スポーツ紙サッカー担当記者が語る。
「父親は元ボクシング選手で、高校時代にはプロのライセンスを取得したほどの腕前だったそうです。小さい頃から早朝に近所の公園でトレーニングやシュート練習にも付き合ってもらったとのこと。日本代表でも随一のキック力はその時に培った賜物でしょう。母親は栄養面でのサポートだけでなく、家庭内の環境づくりにも精を出したそうです。家の中のいたるところにサッカー関係の本を置き、メッシをはじめ一流選手たちのゴールシーンが映っているDVDを集めたらしい。藤野自身もそれらを繰り返し見ていたと聞いています」