ライフ

更年期障害の治療で避けるべき医師「薬の服用方法の選択肢を提示しない」「生活指導を行わない」

更年期障害と決めつける医師にも要注意(写真/PIXTA)

更年期障害と決めつける医師にも要注意(写真/PIXTA)

 医学の世界は日進月歩。たくさんの女性を悩ませる更年期障害の治療においても同様だ。多くの医療者たちが熱視線を送るのはアメリカ製の新薬だ。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが語る。

「アステラス製薬の更年期障害向け治療薬『フェゾリネタント』が、5月にアメリカで承認されました。非ホルモン性の初めての治療薬で、ホットフラッシュなどを抑える効果があります。日本でも使用可能になれば治療が容易になります」(上さん)

 だが、日本の承認はまだ確定していないため、待ちながらいまの治療法を知っておこう。渋谷文化村通りレディスクリニックの医師・高橋怜奈さんが説明する。

「ホルモン補充療法や漢方、サプリメントが主な治療で、そのほか症状に応じて精神科の受診をすすめたり、生活習慣の改善を指導するなど対症療法が行われています」

 なかでも最も効果的とされるのはホルモン補充療法。しかし、薬の服用方法の選択肢を提示しない医師には要注意。

「昔はのみ薬が主流でしたが、いまのホルモン補充療法には貼り薬や塗り薬もあります。のみ薬に比べて血栓や合併症を起こすリスクが少ないからです。貼り薬や塗り薬の選択肢を提案しない医師は古い知識しか持っていない可能性があります」(高橋さん・以下同)

 ホルモン補充療法は長期間の投与で乳がんリスクを若干上げることがわかっているが、ここでも最新の医療情報をアップデートしている医師か時代遅れの医師かで差がつくという。

「最近、乳がんリスクを上げない新薬が発売され、安心して服用できるようになりました。新薬だと月2000円ほど負担が増えますが、がんリスクを減らしたい人は替えた方がいいでしょう」

 また、最近では症状に応じて局所療法も積極的に行えるようになった。例えば、のぼせなどの症状がなく、腟に違和感を覚えるだけならピンポイントでレーザーを当てる治療も有効だ。

「自費にはなりますが、尿漏れや腟が乾燥してただれる、性行為のときに痛みを感じるなどの症状には効果的です。ホルモン補充療法で症状が改善しない場合には、腟のレーザー治療も提案しています」

 そうした最新の治療法を知らない医師だけでなく、すぐに更年期障害と決めつける医師にも気をつけたい。

「更年期障害だと思っていたら、よく似た甲状腺の病気や婦人科系のがんという可能性もある。ちゃんと勉強している産婦人科医であれば、検査結果のもとしっかり診断しますが、患者さんに“更年期障害の症状があります”と言われたから、その言葉通り思い込んでほかの病気の兆候を見落とす医師もいないとは限りません」

 医療に詳しいジャーナリストの村上和巳さんは、生活指導を行わない医師も避けるべきだと話す。

「生活習慣を正すだけでも更年期症状がよくなる人もいます。これについて触れない医師はいい医師とはいえません。また、眠れない場合に睡眠薬を出すことがありますが、その中の一種である『エチゾラム』には強い依存性があり、医療界で問題になっています。安易に処方する医師は知識不足といえる。かかるのはやめた方がいい」

※女性セブン2023年8月3日号

関連キーワード

トピックス

小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン