「あのドラマ、ものすごくお金がかかってますよね! 映画1本分くらいかかってるんじゃない?」──そう興奮気味に語るのは、俳優のラサール石井。あのドラマとは、7月16日に始まったTBSの日曜劇場『VIVANT』(ヴィヴァン)。
初回は架空の国「バルカ共和国」を舞台に繰り広げられ、冒頭はいきなり砂漠のシーンからスタートする。撮影のために2か月半ものモンゴルロケを敢行し、キャストやスタッフなど250人が訪れ、馬やラクダ、羊など3000頭もの動物も用意されたと言われている。堺雅人、阿部寛、役所広司などキャストも超豪華。初回視聴率は11.5%と2桁発進だったが、それが低いと感じるほどのスケール感で話題を呼んだ。
堺が演じる主人公・乃木憂助は、日本の商社「丸菱商事」のエネルギー開発事業部に勤務している。同社は、取引先であるバルカ共和国の「GFL」社に、100万ドルを支払うつもりが1000万ドルの誤送金をしてしまった。誤送金の原因ははっきりとわからないまま、それを取り戻すために乃木はバルカ共和国を訪れ、とんでもないことに巻き込まれていく。そして、現地で聞いたキーワードが「VIVANT」だった──。
この「超大作」が実現したのは監督で福澤諭吉の玄孫でもある福澤克雄氏と、『半沢直樹』シリーズでタッグを組んだ“盟友”の「信頼関係」によるところが大きい。『半沢』で共演した経験のあるラサールが言う。
「地上波では考えられないスケール感と予算は、『半沢直樹』で数字を取ったジャイさん(福澤氏のあだ名)と堺さんコンビへの信頼があるからでしょう。
ジャイさんとは彼が新人の頃に『3年B組金八先生(第5シリーズ)』でご一緒しましたが、重要なシーンで何度も撮り直しさせられた。その場では『新人らしくないな』って思ったけど、本当に良いシーンになった。
彼はこだわりが強くて名もなき俳優でも才能ある人を見つけて起用するのがうまい。そんなジャイさんは堺さんを誰よりも信頼しているし、堺さんも彼の演出ならば間違いないと思っている。僕も出たかったですよ(笑)」
謎だらけの展開だけに、今後も目が離せない。
※週刊ポスト2023年8月4日号