マイナンバーカードをめぐるトラブル続発で、最大の戦犯として河野太郎・デジタル担当相の責任を問う声が日に日に強まっている。しかし、河野氏の口をついて出るのは攻撃的で挑発的な言葉ばかりだ。河野氏の数々の“炎上発言”をまとめた。
最新の発言は、7月5日、上智大学で行なった講演で飛び出した。
「レポートを書くときに、アウトラインをちょっとチャットGPTに考えてもらって、こういうのがあるのかっていう使い方をするのは、どんどんやったらいいんじゃないかな」
大学では学生にチャットGPTなど生成AI(人工知能)の利用をどこまで認めるかが議論となっており、上智大はレポートや論文作成に使うことを原則禁止し、発覚すれば処分する方針を打ち出している。その学生を前に、デジタル相の河野氏が逆の見解を披露したのだ。
他にも、自身が出演する生配信について、「来週の日曜日です。手帳に書いといてね」(2022年10月9日)とツイッターで告知したことについて、「デジタル大臣、スケジュール管理はアナログ」とネットで突っ込まれたり、衆院の解散総選挙の時期をめぐり、「10月中にはおそらく行なわれると思う」(2020年9月9日)と発言してしまうなど、“炎上発言”を挙げると枚挙にいとまがない。
ほくそ笑む岸田首相
政治家の心理分析など多くの著書がある臨床心理士・矢幡洋氏が河野氏の言動をこう分析する。
「心理療法のパーソナル心理学で分析すると、河野氏は競争心、上昇志向が非常に強く、他人とやりあうことを厭わない。わかりやすい言動パターンはやられたらやり返す。
河野さんが答弁で『所管外』を繰り返したことについて、TBS記者が『もう少し丁寧な言い方があるだろう』とツイートしました。これに河野さんは『TBSってこういう印象操作するんだ』と反論していますが、この程度のことは目くじらを立てなくてもいいのに、河野さんは常に勝ち負けを意識しているので、相手から攻撃されてそのままにするのを『負けた』と認識するから、やり返さずにはいられない。批判的なアカウントをブロックすることを隠さないのも、自分は負けてないぞというアピールです」
そんな河野氏の「負けられない相手」は、今回のマイナ問題では国民に向けられている。だから、マイナカードの自主返納が増えると、「本当に微々たる数。変なことに惑わされないで」と問題を一方的に「変なこと」にしてしまおうとするし、責任問題でも「自分で自分を処分しなければならない」と、処分する側も自分自身なのだ。
だが、国民にとって問題なのは、河野氏の一連の“オレ様言動”で、この問題の本当の責任者が隠されてしまったことだろう。政治アナリスト・伊藤惇夫氏が指摘する。
「本来ならマイナ問題では岸田総理の責任が一番重い。責任を問われなければならないはずだが、かわりに河野大臣が批判を一身に浴びている。この状況をほくそ笑んでいるのは、まさに岸田総理自身でしょう」
「次の首相の有力候補」と見られていたライバルの河野氏が、冷静さを失って岸田政権の延命に利用されているのである。
※週刊ポスト2023年8月4日号