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荒唐無稽な投資詐欺 被害者の司法書士が振り返る手口「変だなと思いながらも壮大な話にワクワク」して騙された顛末

メールアドレスを疑う気持ちも自分で蓋をしていた(イメージ)

メールアドレスを疑う気持ちに自分で蓋をしていた(イメージ)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、疑わしいと思いながら、その気持ちに蓋をしてしまう詐欺被害者の心理について。

 * * *
 詐欺師はどこからどんな形でターゲットを探し出すのか。特殊詐欺には過去に詐欺の被害にあった人のリストや高齢者リストなど、名簿屋で売買されているリストが使われることも多いといわれる。だが他の詐欺はどうなのか。

「ターゲットはネットで探したようだ」。詐欺の被害者となったA氏は事件を振り返ってそう語った。彼は見知らぬ相手からの連絡を受け、その話を信用して送金し続け、詐欺だと気が付いた時には200万円ほどを振り込んでしまっていたという。その顛末を語ってもらった。

 ある日、都内で経営する司法書士事務所のウェブサイトの問い合わせフォームに、Mという人物から連絡があった。A氏にとっては面識のない人物だった。仕事の依頼だと思ったA氏が連絡を取って話を聞くと、Mは日本人で、香港で石油や天然ガスの取引をする会社を経営しており、今は仕事でしばらく日本に滞在していると話した。Mの相談は変わっていた。持ってきた滞在費用が底をつきつつあり、海外の知人から国際送金サービスで資金援助を受ける予定があるので、代理で金を受け取り、滞在先のホテルへ届けてほしいという依頼だったのだ。Mは日本に住民票がなく、マイナンバーもないので、日本の銀行で受け取りできないという話だった。

「自分が損をする話ではないので、代わりに受け取り、指定する場所へ届けた。困っていたようなので、親切心からだった。この時はその手数料として数万円をもらった」(A氏)。ここからMの語る話は国際的なビジネスへと発展し、プロジェクトには香港やスイス、マレーシアや中国、ロシアという国々の名前とその銀行とのやり取りが頻繁に出てくるようになる。そして一緒に儲けようと「先生には恩があるから」「先生を信用して」とA氏を誘うようになる。「壮大な話に圧倒されて、自分も大きな仕事に関われるという気がしてワクワクしてしまった」とA氏はいう。

 それでも最初は疑心暗鬼だった。だがある財団法人の理事長の名前を出されて、完全に信用してしまったという。話によると理事長はMのプロジェクトをバックアップしており、ある財閥関係者と懇意で、理事長が頼めばその人物を通じて財閥が金を融通すると聞かされたからである。調べてみると、財団も理事長も確かに実在していた。

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