新型コロナが2類から5類相当に移行した。大多数の感染者は何事もなく治癒するが、一定数は重症化する。夏を迎えインバウンド増加と、人流拡大によるコロナ第9波が懸念される中、何をすれば感染と重症化予防が可能なのか。また治療薬は何を選択すべきで、効果はどの程度か。ワクチン接種は継続したほうがよいのかなど、コロナ最前線で戦っている感染症専門医に聞く。
コロナ5類移行に伴い、コロナ疑いだろうと、どこの医療機関でも受診可能になった。一方、沖縄などは第9波到来が懸念され、改めて感染対策が重要となってきている。
そこで埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科の岡秀昭教授に聞いた。
「5類という分類は日本だけのもので、私はコロナ専用分類を設定したほうがよかったと考えています。コロナはインフルエンザと違い、症状が出る前から他人に感染し、その感染力も強い。つまり、感染している無症状の人が普通に街を歩き、コロナを広める可能性が高いわけで、求められるのは自主的な検査と隔離です。発熱や咳、のどの痛みなどの症状があれば、薬局で検査キットを購入し、検査したほうがよいでしょう。その際、研究用と書かれたものではなく、厚労省認定の検査キットを使うことがポイントです。また検査が陰性でも自覚症状があれば、出歩かずに休んでほしいと思います」
コロナは感染力が強く、当初は重症化率・死亡率ともに高かったが、現在は低下している。その理由は治療薬とワクチンの開発、そして、ウイルスの変異にあるという。
「ワクチン開発当初は感染予防効果9割といった治験データが発表されたのですが、ワクチン接種後も感染する人がいました。それはウイルスが頻繁に変異し、免疫を逃れたためにワクチンの予防効果が減少したせいです。はしかと違い、コロナは終生免疫を得られないので、何度も感染します。それでもワクチンは重症化と後遺症を減らす十分な効果が期待できます」