北海道・札幌市の繁華街ススキノにあるホテルの一室で、頭部を切断された男性の遺体が発見された。事件発生から約3週間後の7月24日、道警は、札幌市厚別区に住む職業不詳の田村瑠奈容疑者(29)と父親で精神科医の田村修容疑者(59)を死体損壊、死体領得、死体遺棄の疑いで逮捕した。さらに翌25日には、母親であるパート従業員の田村浩子容疑者(60)も死体遺棄などの疑いで逮捕された。
娘、父、母が立て続けに逮捕されるという結果に、〈家族ぐるみの犯行か〉と世間に衝撃が広がっている。捜査関係者が田村一家について明かす。
「瑠奈容疑者が、被害者に殺意を持ってホテルに同行した可能性が高い。恨みがあったのではないか。容疑者たちの役割分担については捜査段階にあるが、父親が娘を車で送迎した可能性も含め捜査を進めていく。瑠奈容疑者は小学校の高学年の頃から不登校だったようで、父親が医者ということもあり、食べていくには困らないが苦悩を抱えていた家だったようだ」
父親の修容疑者は、勤務先の病院で精神科の科長を務めていた。過労死やうつ、メンタルヘルスに関する講演会やセミナーに登壇する機会も多く、地元ではちょっとした有名人だったという。彼の知人が明かす。
「地元新聞から何度も取材されており、名士といっていいでしょう。患者さんや若い医師など、彼にお世話になった人は多いと思います。
田村さんは、人々のさまざまな悩みに触れる精神科医という立場だからこそ、政治・社会問題への関心も高く、熱い志を持っていました。海外に派遣された自衛隊員の心のケアをする支援団体『海外派遣自衛官と家族の健康を考える会』の北海道・東北支部の代表幹事を務めるほか、憲法九条を守りたい北海道の医療従事者による『医療九条の会・北海道』の学習会に講師として立ったこともある。政権に物申すようなこともよく口にしていました」(修容疑者の知人、以下同)