大谷翔平の魔球「スイーパー」に五十嵐亮太氏が挑戦 思うような回転を得られず「難しいですね。悔しい!」
スイーパー:「横投げ」に近い投げ方で、投手方向から左に平均42.5cmの曲がり幅を生み出す。前半戦の投球の35.4%を占めた(写真=AFP/AFLO)
大谷翔平のスライダーより大きな幅で曲がる「スイーパー」に五十嵐亮太氏が挑戦(写真/共同通信社)
図の縦軸はリリースの高さ、横軸はプレートからリリースポイントまでの距離を示す。スイーパーと直球とで腕の位置にはっきりした違いがあるため、打者は球種を予測しやすくなるが、「良質のボールが投げられればアウトにできると考えているはず」(神事氏)。同じ球種でもリリースポイントにばらつきがあるのは、試合の中でその日の状態に合わせて微調整しているのだろう(提供/NEXT BASE。数値は前半戦最終登板7月5日時点)
速球、カーブetc.:スプリット、カーブ、速球は地面から180~200cm程度の高い位置から投げており、腕の振りは「縦振り」に近い(Getty Images)
大谷より球種が豊富なダルビッシュ有(パドレス)だが、リリースの位置は大谷よりも一定の箇所に集まっている。力で打者をねじ伏せようとする大谷に対し、「あらゆる球種を駆使して打者の裏をかくのがダルビッシュ投手」(五十嵐氏)。神事氏も「直球の質に関しては大谷投手より100回転ほど多く、ボール1個分ぐらい大谷投手より伸びている良質のボール。スイーパーも直球に近いリリース位置から投げていて打者が判別しにくい」と語る(提供/NEXT BASE 。数値は前半戦最終登板7月8日時点 )
ダルビッシュ有(写真/AFLO)
図が示すのは、大谷が上下左右、全方位への変化球を操っていることだ。スイーパーは最も変化量が大きく、投手方向から見て左側へ曲がることを表わす。2023年2月に肘の手術をしたばかりという五十嵐氏がスイーパーに挑戦するも、解析した変化量はスプリットやカットボールの位置にとどまり、スイーパーのような左側への大きな変化量は出なかった(提供/NEXT BASE。数値は前半戦最終登板7月5日時点)
真上から投げ下ろすタイプの五十嵐氏がいきなりサイドから投げてもなかなか思い通りのデータが得られない
神事氏が「縫い目に対し、人差し指と中指を深く握れば回転数が上がる」と説明すると、「逆だと思っていた」と五十嵐氏(撮影/藤岡雅樹)
リリースの瞬間をハイスピードカメラで撮影。回転数や回転軸の数値を確認しながら、実際の球筋と感覚を一致させていく(撮影/藤岡雅樹)
「僕は腕を縦振りさせるタイプなので、下げたところでスイーパーは難しいですね。悔しい!」(撮影/藤岡雅樹)
大谷のようなサイドスローに挑戦(撮影/藤岡雅樹)
動作解析技術は著しく進歩(撮影/藤岡雅樹)
アスリート向けに動作解析を行なう「ネクストベース」の上級主席研究員・神事努氏(撮影/藤岡雅樹)
現役時代はMAX158キロの豪速球を投げ込んだ五十嵐氏(撮影/藤岡雅樹)
ネクストベースの解析のもと、「大谷スイーパー」を実践(撮影/藤岡雅樹)
ハイスピードカメラなども活用(撮影/藤岡雅樹)
様々なデータがとれる(撮影/藤岡雅樹)
進化し続ける動作解析技術(撮影/藤岡雅樹)