夜になるとネオンが燦然と輝く、北海道札幌市中央区の歓楽街ススキノ。その一角にあるコンクリート打ちっぱなしの7階建てのラブホテルが、7月24日の昼前にひっそりと営業を再開した。ただし、事件現場となった2階を除いて──。
奇しくもその日、北海道警は職業不詳の田村瑠奈容疑者(29才)、瑠奈容疑者の父親で、精神科医の田村修容疑者(59才)、翌25日に瑠奈容疑者の母親で、パート従業員の田村浩子容疑者(60才)を、それぞれ死体損壊・領得・遺棄容疑で逮捕した。
「3人は共謀して、7月1日深夜から2日未明にかけて、被害者の浦仁志さん(享年62)をラブホテルの一室で殺害したのち、遺体の頭部を切断して自宅に持ち去った疑いがもたれています。
瑠奈容疑者は修容疑者とともに、札幌市内の『ドン・キホーテ』でノコギリやスーツケース、手錠、脱毛クリームを事前に購入した。そして、修容疑者の運転でラブホテルに向かい、23時頃、女装姿の浦さんと合流しました。深夜2時頃、浦さんの頭部が入ったとみられるスーツケースを持ち、ホテルから出る瑠奈容疑者が確認されている。帰りも修容疑者が車に乗せたようです」(地元紙記者)
殺害から頭部切断まで、凶行にかけたのはわずか3時間。
「修容疑者は札幌市内の病院で精神科科長を務めていました。計画段階から深く犯行にかかわり、娘に遺体切断などの“指導”をした可能性がある。頭部は田村一家が暮らす自宅に保管されていました。一家の浦さんに対する強烈な怨恨が見え隠れします」(社会部記者)
自宅は事件現場から車で30分ほどの場所にある。3階建てで、グレーを基調とした立派な邸宅だ。田村一家の様子を知る近隣住民の話。
「娘さんは小学校の頃から不登校気味でした。近所の人もほとんど彼女のことを知らないんじゃないかな。お父さんは柔和なかたですが、最近は玄関先や車の中でひとりでご飯を食べていたり、変なところも……。お母さんは近所では“押しが強くてトラブルを起こしがちな人”と知られていました」
瑠奈容疑者の知人は、彼女の“危うさ”を垣間見たことがあったという。
「瑠奈は精神的に不安定で、定職につかず、病院や自治体のサポートを受けていたようです。お父さんが医者なので生活には全然困らないのに、出会い系アプリで初対面の男性とホテルで会うなどしていた時期もありました」(瑠奈容疑者の知人)
捜査本部によると、瑠奈容疑者と浦さんは以前より面識があったという。
「メーカー勤務の浦さんは昼間は仕事に実直な人柄で通っていましたが、夜になると違う顔を持っていた。女装をして、ススキノのクラブやディスコ、ハプニングバーや風俗店などに通っていました。女装はしていたものの、性的対象はあくまで女性でした。
夜のお店では、女装とオネエ口調で女の子にしつこく迫るといった迷惑行為が頻繁にあり、いくつかのハプニングバーや風俗店で『出入り禁止』になっていたのも事実です。瑠奈容疑者ともその種の深刻なトラブルを抱えていたのかもしれません」(風俗店関係者)