ライフ

抽選倍率62倍の大人気!タクシー運転手が体験した現場を巡る「心霊スポットツアー」に潜入

三和交通が開催する心霊スポットツアーに潜入

三和交通が開催する心霊スポットツアーに潜入

 三和交通が夏に開催する『心霊スポット巡礼ツアー』をご存じだろうか。複数のタクシー運転手が実際に体験した心霊現象の現場をあえて巡るという正気の沙汰とは思えないツアーだが、毎年申し込み者が殺到するという。実際に参加した記者が見たものとは──。

 三和交通は、1965年に創業したタクシー会社で、神奈川・東京・埼玉を拠点としている。ここで2015年より毎年夏に開催しているのが『心霊スポット巡礼ツアー』だ。申し込み者が殺到するため、参加は抽選制。昨年の倍率は62倍だったという。なぜそれほど人気なのか、記者がツアーに潜入して探った。

重い体をひきずって帰宅すると愛猫が……

 7月某日18時30分、東京・八王子駅に降り立った記者を待っていたのは、柔和な笑顔をたたえたドライバー・竹中友視さん。

「八王子は第二次世界大戦時、日本陸軍浅川倉庫などの軍事施設があったほか、『八王子空襲』(1945年8月2日)と呼ばれる大規模空襲を受けた場所。そのせいか、恨みと悲しみを抱えた霊が出現するスポットが多いんです」

 と、笑顔に似合わぬ怖いことを言う。ツアーでは約8時間かけて、20か所前後の心霊スポットを巡る。

 各スポットについては下記に詳述するが、人気の秘密は信ぴょう性にあるのだろう。このツアーはお化け屋敷に行くような遊び半分の気持ちで参加してはいけない。慰霊の気持ちを持って臨むことをおすすめする。

 さらに記者が特筆したいのは這う這うの体で帰宅した深夜のことだ。玄関のドアを開けたものの、いつも出迎えてくれる愛猫が来ない。少し気になったが、とにかく体が重くて疲労困憊。倒れこむように就寝すると、突然猫が「シャーッ」と威嚇しながら飛び掛かってきた。こんなことは初めてだ。明け方まで猫との格闘は続き、いつの間にか眠っていた。そして目覚めると、重かった左の肩が軽くなっていたのだ。この世は目に見えることがすべてではない、と実感した一夜だった。

ツアーで巡る心霊スポット

 三和交通の『心霊スポット巡礼ツアー』で巡る各スポットを紹介しよう(ツアーの行き先はその都度変わるため、本企画でも場所については詳述できません。ご了承ください)。

●母娘の惨殺現場にある首落ち地蔵

寺の跡を前に、記者の肩はずっしり重くなり、悪寒に襲われる

寺の跡を前に、記者の肩はずっしり重くなり、悪寒に襲われる

 明治時代、「絹の道」として栄えた八王子市内の古道にある某寺の跡地へ。ここには昭和時代、母娘が惨殺された逸話が残る。タクシーを近くに停車させると、真っ暗な山中を懐中電灯の明かりを頼りに20分ほど歩く。現在あるのは寺跡を示す石碑のみだが、周辺には子供を抱く地蔵や祠が無数に立つ。手を合わせにくる人が多いのか、新しい花や菓子が供えられていた。ここで最初の怪異が……。

死者の霊を鎮めるための地蔵。なぜか何度も首が落ち、その都度、首だけ新しいものにすげ替えたため、胴体と首の色が異なるのだという

死者の霊を鎮めるための地蔵。なぜか何度も首が落ち、その都度、首だけ新しいものにすげ替えたため、胴体と首の色が異なるのだという

地蔵の近くで、買ったばかりの懐中電灯のストラップが突然切れた。これが何を意味するのか……

地蔵の近くで、買ったばかりの懐中電灯のストラップが突然切れた。これが何を意味するのか……

●50人以上が亡くなった恨みと悲しみのトンネル

Ⅰトンネル近くにある封鎖されたトンネル。霊感が強い人は近寄れない

Ⅰトンネル近くにある封鎖されたトンネル。霊感が強い人は近寄れない

 第二次世界大戦終戦間際の1945年8月5日午前11時頃、新宿発長野行きの中央本線419列車が八王子市内のIトンネルを通過。そこに米軍戦闘機が飛来して銃撃。死者50人以上、負傷者130人以上を出す国内最悪の列車襲撃事件が起こった。近くには慰霊碑もあり、遺族や鉄道関係者がいまだ手を合わせにくる神聖な場所でもある。

近くには事故で亡くなった女児の霊を鎮める観音堂も

近くには事故で亡くなった女児の霊を鎮める観音堂も

●恋人に殺された女が待つバス停の怪

記者がベンチに座ろうとすると、竹中さんから「やめた方がいいですよ」と止められる。その瞬間、香水の香りが……

記者がベンチに座ろうとすると、竹中さんから「やめた方がいいですよ」と止められる。その瞬間、香水の香りが……

 20年ほど前、女性の遺体が投げ込まれたという川。犯人は女性と交際していた男で、女性に金を貢がせた挙げ句に殺したのだという。殺害現場は、この川の近くにあるバス停。「このバス停のベンチに座った女性はあの世に連れて行かれる」といういわくつきだ。いたずらに座ろうとした記者はこの後、肝を冷やすことになる。

女性の遺体が投げ込まれた川にかかる橋

女性の遺体が投げ込まれた川にかかる橋

●川が血で真っ赤に染まった! 呪いの滝と女の声と

武将の妻子が身投げした滝。甲冑を身に着けた武士の霊の目撃談も多い

武将の妻子が身投げした滝。甲冑を身に着けた武士の霊の目撃談も多い

 約400年前の戦国時代、八王子市内にある山城・H城は豊臣秀吉の軍に攻め込まれ、3000人もの女性と子供がこの地で自刃し、滝に身を投げた。川は、三日三晩血で赤く染まったという。麓の村では「川の水で米を炊くと赤くなる」といわれ、現在も先祖を供養する際に赤飯を炊く「あかまんま供養」という風習が残る。ここで記者は「キャハハ」という女性の笑い声を聞く。

落城時に亡くなった人たちの霊を鎮める慰霊碑。訪れる人が多いようで、いまも新しいお供え物が

落城時に亡くなった人たちの霊を鎮める慰霊碑。訪れる人が多いようで、いまも新しいお供え物が

●夜中に少女が……あの世に繋がる電話ボックス

H霊園の前にポツンとたたずむ電話ボックス。深夜に女の子がボックス内でしゃがんでいる姿を見たドライバーが数多くいると竹中さん

H霊園の前にポツンとたたずむ電話ボックス。深夜に女の子がボックス内でしゃがんでいる姿を見たドライバーが数多くいると竹中さん

 八王子市内にあるH霊園の前を走る幹線道路沿いに、電話ボックスがポツンと立つ。ここで電話をするとガラスに女性の顔が映る、などのうわさがある。電話を終えて外に出ると後ろから女性に声をかけられるとも……。このあたりはかつて暴走族がよく走っており、事故も多かったそうだ。竹中さんもここで深夜、幼い女の子を見かけたことがあるそう。暗闇の中でひときわ明るい公衆電話は、人も怪異も招き寄せているようだった。

深夜、八王子の山中を走る車は記者が乗るタクシーくらい。それがまた恐怖心をそそる

深夜、八王子の山中を走る車は記者が乗るタクシーくらい。それがまた恐怖心をそそる

「心霊スポット巡礼ツアー2023』
 三和交通が期間限定で開催するタクシーツアー。エリアは横浜・多摩・府中・ふじみ野で、ツアー時間は場所によって違い、2時間30分~8時間。今回は「最恐」と名高い多摩地域を巡った。ツアーは抽選制で1万6000円~。

取材・文/前川亜紀 撮影/玉井幹郎

※女性セブン2023年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン