また、足臨泣(あしりんきゅう)は経絡で胆のうとつながり、押すことで自律神経を整えて突発性難聴にいいとされる。
「どのツボも1日に何度も押していいのですが、強く押しすぎて筋肉を傷つけたりしないように注意してください。力を入れすぎるとかえって体に悪影響となる可能性があるので、イタ気持ちいい程度で試してみましょう」(瀬戸氏)
体への刺激としては、耳にいい手軽な体操もある。NASA(アメリカ航空宇宙局)が推奨する「耳スクワット」と呼ばれる体操を川越耳科学クリニック院長の坂田英明医師が紹介する。
「30分に1度立ち上がるだけの体操ですが、試す価値はあります。耳の有毛細胞(音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割を持つ細胞)の上には『耳石』という結晶があり、体が傾くと耳石の動きが有毛細胞に伝わって自分の体の向きなどを感じ取れます。デスクワークなどで椅子に長時間座る人は、耳石を動かさない時間が増えることで、耳の老化につながる。NASAは宇宙空間での調査を通じた研究をもとに、そう報告しています。椅子から立ち上がって頭が揺れれば、それだけで耳石が動き、有毛細胞が刺激されて活性化する効果が望めるわけです」
ちょっとした日常のなかの動作にも注意を払うことが肝要と言えそうだ。
※週刊ポスト2023年8月4日号