ライフ

「“生理痛は体質だから”の思い込みは危険」「貧血を生理のせいにすると重病を見逃す」生理について知っておきたい正しい知識

(写真/PIXTA)

正しい知識をアップデートしよう(写真/PIXTA)

「生理痛は、男性なら気絶するほどの痛み」「男性が出産の痛みを経験すると、痛みのあまり死んでしまう」──確かめるすべはないが、多くの人が「女性は男性よりも痛みに強い」と信じている。だが近年、国内外の複数の研究から、それはただの思い込みだということがわかりつつある。

 スペインのマラガ大学の研究で痛みに対する感受性に性差がないことが明らかになっているほか、ラットを用いた実験でも、オスよりもメスの方が痛みの刺激に敏感だという結果が出ており、その理由は力強さや闘争心を高める男性ホルモンの働きによるものではないかといわれている。

 事実、線維筋痛症の女性が男性ホルモンを投与された結果、痛みが軽減したという報告もある。2022年の厚生労働省「処方薬 性年齢別薬効分類別数量」を見ても、解熱鎮痛消炎剤の処方割合は、どの世代でも男性より女性の方が圧倒的に多い。

 つまり「女性は痛みに強い」というのは単なるイメージで、迷信にすぎないのだ。ウソと迷信に満ちた健康知識をアップデートしなければ、いつまでたっても、自分の体を虐げ続けることになりかねない。

 女性の体に関する“ウソ知識”は数多くある。中でも深刻なのが、生理にまつわるものだ。成城松村クリニック院長の松村圭子さんが警鐘を鳴らす。

「生理に伴う痛みの寡多と、体質や遺伝との相関関係はほとんどありません。仕事や学校を休まなければならないほどのひどい生理痛は、子宮内膜症や子宮筋腫などが潜んでいる可能性がある。毎月のことなので慣れてしまいやすいですが“体質だから”という思い込みは危険です」

「痛み止め」

「痛み止め」処方数は女性の方が多い

 女性に多い貧血も、生理のせいにしていると、別の重大な病気を見逃すことになりかねない。

「1周期の生理で出る正常な経血量は20〜140mlほどで、牛乳びん1本分にも満たない量です。生理中の出血だけが原因で貧血になることはまずありえません。生理のたびに貧血気味になるという人は子宮筋腫など、ほかの理由で出血量が増えている可能性があります」(松村さん・以下同)

 1周期の生理で普通の日用ナプキンを1パック使い切るくらいが正常。1時間ほどでナプキンを替えなくてはいけなかったり、反対に1日に1、2回しかナプキンを替える必要がないくらい経血が少ない場合は、婦人科を受診してほしい。

「タンポンを使うと早く生理が終わる」「布ナプキンを使うと生理痛が軽減される」というのは個人の体験談レベルの話で、医学的根拠はない。

「また“性交渉の経験がないとタンポンを使ってはいけない”と思っている人もいますが、それも間違いなので、個人の好みで選びましょう。

 ただし、長時間タンポンを入れたままにしておくことで黄色ブドウ球菌に感染してトキシック・ショック症候群(TSS)を引き起こすリスクがあるので、ナプキン以上に衛生面への配慮が必要。悪化すると両脚を失ったり命を落としたりするケースも報告されているので、自分で衛生管理を徹底できる年齢になるまでは使わないのが賢明です」

 ナプキンやタンポンのような生理専用の処理用品がつくられたのは大正時代といわれており、それ以前の女性は、布や紙、植物の葉や灰を使っていたとされる。「その時代の女性は腟を締めて自在に経血を止めることができ、排泄の際に出していた」という説があるが、これもウソ。

「自分の意思で経血を止めることが可能ならそもそも、いまのように生理用品が進化する必要がありません。血液は尿とは違い、がまんはできません」

※女性セブン2023年8月10日号

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン