ライフ

マスクで肌荒れの実態明らかに、コロナがもたらす肌トラブルとスキンケア、中国で全国調査

3月13日からマスクの着用をどうする?(イメージ)

マスクの影響は?(写真はイメージ)

 マスク着用は肌トラブルの一因とされるが、このたびその実態を調べた結果が報告された。中国の研究グループが7月19日に論文発表したもの。

9000人以上を対象に実態調査

 コロナ禍によるマスクの長時間着用が続いて、肌トラブルの増加につながると言われている。

 ヒフコNEWSでもニキビの発生の増加について伝えている。その研究結果によると、マスクを着用している人には、下あごのほか、ほお、あごのラインにニキビができやすいという。

 マスクの使用率は減っているものの、それでも多くの人が感染予防のマスクをし続けている。マスク着用とニキビをはじめとした肌トラブルの関連は依然心配な事柄ではある。そうした中、中国全土で、長時間のマスク着用がもたらす肌トラブルについての調査が実施された。

 中国皮膚科医協会は、9258人が参加する全国調査を実施した。この調査では、皮膚の状態、使用するマスクの種類、マスクの着用時間、マスク着用による影響、洗顔や保湿などのスキンケア習慣など、さまざまな側面から調査が行われた。分析されたデータは、主に18~40歳の女性で、有効回答者6641人の回答から構成されている。この調査は、2023年7月19日に美容皮膚科の専門雑誌Journal of Cosmetic dermatologyに掲載された。

肌ダメージとマスク着用の影響を検証

 こうして分かったのは、マスク着用と肌トラブルとの詳しい関係である。

 回答者の大多数(92.3%)が一般的な紙でできたサージカルマスクを使用しており、半数強(56.5%)の人が1日1回マスクを交換していた。

 赤み、腫れ、かゆみ、ニキビの増加など、コロナ前と比べて皮膚状態が悪化したと報告したのは約26.6%だった。

 また、綿でできた布マスクと比べて、サージカルマスクとウレタンマスクは顔の皮膚トラブルの確率がそれぞれ2.40倍と3.06倍に増えることが分かった。

 さらに、長時間マスクを付けるほど、ニキビ、赤み、かゆみ、乾燥を含む顔の肌トラブルの症状が増えていた。1日8時間以上のマスク着用は、2時間程度の人と比べると、皮膚状態の悪化の可能性を1.51倍増やすことが確認された。

 マスク着用時間に関連する鼻、呼吸器、目の症状も増えたという。マスクの交換頻度を増やしても、肌トラブルや敏感症状の重症度に影響はなかった。

洗顔するほど肌トラブルが増えた

 さらに、洗顔と保湿の習慣を分析した結果、洗顔の頻度が高いほど(1日1回以上)、皮膚の状態が悪化することが明らかになった。一方、保湿製品、特にクリームの使用は有益で、適切な保湿剤の使用は、皮膚の状態を改善した。

 今回の調査結果は、マスク着用が皮膚の健康に与える影響を裏付けるものだった。長時間の着用、特定のマスクタイプ、過度の洗顔は肌の悪化を招く可能性があり、注意すると良さそうだ。

参考文献

Wang X, Liu L, Yang H, Kerob D, Zhang X, Zhang Z, Liu Z, Yang B. A survey of the impact of the COVID-19 epidemic on the skin condition and skin care habits of Chinese residents. J Cosmet Dermatol. 2023 Jul 19. doi: 10.1111/jocd.15807. Epub ahead of print. PMID: 37466129.

マスク着用がニキビの原因に!マスクと肌荒れの関係を考える

美容クリニック看護師座談会vol.4 「コロナ禍で美容医療業界に起きた変化 今後脱マスクで増える治療は?」

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン