人の振り見て我が振り直せ、実に含蓄のある言葉である。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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前回は「困ったおじさん」のオールスターメンバーで打線を組みました。共感や反省の声とともに見受けられたのが「やりやすいからって、おじさんばかりネタにするな!」「おばさんでは怖くてやれないだろ」といった声。いえいえ、そんなことはありません。
「困った人」がいるのは、おじさんもおばさんも若い男女も同じ。そして、おばさんを批判する記事が出たからといって、おばさんはじめ女性のみなさんが怒ると決めつけるのは失礼であり、一種の偏見です。多くの女性はそんなに狭量でも浅はかでもありません。
もし怒りの声が多く寄せられるとしたら、おじさんを批判する記事でも同じことが起きていたはず。「おじさんはいいけど、おばさんを批判するのは許さない!」「おばさん批判は差別だ!」とおっしゃるなら、それは見事なダブルスタンダードです。
「困ったおじさん」のラインナップと同様、ここで取り上げる「困ったおばさん」も、おばさんに限った話ではありあません。今の自分には当てはまらないとしても、傾向を知ることで早めに予防することができます。人の振り見て我が振り直せ。日頃からお世話になっていて、心から敬愛しているおばさんのみなさんのお役に立てたら幸いです。
では、それぞれに個性的なスラッガー揃いのメンバーを発表いたしましょう。
【1番センター、近ごろの若い子はおばさん】
若い世代がミスをしたり無知をさらしたりすると、すかさず「近ごろの若い子は」「私たちの若い頃は」というフレーズを打ち込みます。自分たちが“若い子”だった頃も似たり寄ったりか、もっとひどかった可能性は大ですが、そんな冷静な謙虚さはありません。
【2番レフト、人の悪口とダンナの愚痴おばさん】
会話でどんなボールを投げ込まれても、強引なバット運びで人の悪口かダンナの愚痴を打ち返してきます。自分は世界一不遇で周囲に恵まれていないと認識しており、それを訴えるのに必死で、聞いている側がウンザリしている様子に気づくことはありません。
【3番ファースト、「ほら、私の息子も」おばさん】
どのコースのボールだろうと、すかさず「ほら、私の息子も医者をやってるじゃない」といった調子で家族の自慢話に持ち込みます。相手には初耳でも、「ほら、~じゃない」と周知の事実のような言い方をするのが特徴。家族以外の話題は、ほぼ出てきません。
【4番サード、「いくつに見える?」おばさん】
年齢より若く見られることが最大のプライドであり心の支えであるタイプのおばさんは、初対面の相手に対して、こう尋ねずにはいられません。聞かれた側は、予想年齢より何歳ぐらい低めにサービスして答えればご満足いただけるのか、激しく悩んでしまいます。
【5番指名打者、思い込み激しすぎおばさん】
人の話を聞いていないというか、見事なまでに自分に都合よく解釈するというか、自由奔放なバッティングスタイルで、常に思い込み街道を突き進みます。もちろんおじさんにもいますが、体感として圧倒的におばさんに多い気がするのはどうしてなのでしょうか。