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生理にまつわる誤解 「初潮が早いと閉経も早い」はウソ、「閉経後の生理」は不正出血と甘く見るな

(写真/PIXTA)

誤った認識をしている人は多いかもしれない(写真/PIXTA)

 世の中に広まっている健康に関する知識は、不確かなものも多く、信じ込むことで健康が害される可能性もある。なかでも、生理や閉経に関するあいまいな知識は、少なくないという──。女性が生理の悩みから解放されるのは、50才前後。だが中には40代前半や50代後半に閉経を迎える人もおり、「初潮が早かった人は閉経も早い」という言説も流布されている。しかし、成城松村クリニック院長の松村圭子さんは、それを一刀両断する。

「卵子の数は生まれる前から決まっており、母親が妊娠5か月の時点で胎児は約700万個もの卵子を持っていて、生まれてくるときにはすでに約200万個まで減っています。初潮を迎える前の排卵がない時期でも卵子は毎月減っていき、最終的に1000個を切るくらいにまで減ると閉経します。つまり卵子は生まれる前から減り続けているため、人より数年初潮が早かったからといって、閉経の時期には影響しないのです」

 また医学的には、月経がない状態が12か月続いた時点で「閉経」。「閉経したのに、また生理が来た」というのは、更年期のホルモンバランスの乱れによる不正出血や、厳密にはまだ閉経しておらず、生理が数か月おきになっている可能性が考えられる。だがそれを、ただの不正出血と甘く見てはいけない。

 静風荘病院特別顧問で日本における女性外来の普及に力を入れてきた天野惠子さんは30年ほど前、50才でひどい不正出血に悩まされ、婦人科にかかった。

「当時はまだ婦人科での超音波検査が一般的でなく、内診もないままピルを処方されました。するとあるとき、トイレで突然尿が止まったのです。おかしいと思って自分で超音波検査をしたところ、大きな子宮筋腫が尿道を圧迫していたことがわかり、最終的に子宮と卵巣を切除する手術を受けることになりました」(天野さん)

 そもそも、生理中の不調や閉経、更年期障害などはすべて「エストロゲン」「プロゲステロン」などの女性ホルモンの増減によって引き起こされる。骨や皮膚、血管、自律神経などの健康を守る働きを持つエストロゲンの分泌量は20代でピークを迎え、50代頃、つまり更年期を迎えると激減し、閉経するとほとんどつくられなくなる。その結果、女性の体にはさまざまな変化が起こるのだ。福岡歯科大学口腔医学研究センター長の平田雅人さんが言う。

「肌や髪の美しさを保つのは、女性ホルモンの働きによるもの。閉経後に女性ホルモンが減ると、顔や手足の毛が濃くなったり、毛母細胞が弱って頭髪が薄くなったりする女性がいるのはこのためです。

 また女性の体でも男性ホルモンはつくられており、実は女性ホルモンは男性ホルモンからつくられているのです。女性の体内で男性ホルモンを女性ホルモンに変える作用を持つ『アロマターゼ』という酵素は体脂肪(脂肪細胞)の中にもあるため、ややぽっちゃりした女性の方が、閉経後も女性ホルモンが多いと考えられます」

※女性セブン2023年8月10日号

2つの女性ホルモン

2つの女性ホルモンの作用

女性ホルモンが減ると病気のリスクが上昇する

女性ホルモンが減ると病気のリスクが上昇する

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