巨人の逆転優勝はあるのか。セ・リーグのペナントレースは7月を終えて、首位・阪神を2位・広島が1差、3位・DeNAが5.5差、4位・巨人が6差で追っている(記録は7月31日現在。以下同)。
「巨人までは優勝の可能性が残っていると言っていいでしょう。今季の巨人は順位予想で5位に挙げる解説者も多く、苦戦が予想されていました。投手陣ではエースの菅野智之が開幕に間に合わず、戸郷翔征以外で計算できるピッチャーは誰もいなかった。しかし、山崎伊織は既に8勝を挙げており、左の横川凱もある程度メドが立ちつつある。リリーフでも菊地大稀や田中千晴という新戦力が出てきました」(プロ野球担当記者。以下同)
打線では3年目の秋広優人がスタメンに定着。5月下旬から3番に固定され、7月28日からは、現在ホームランダービートップの岡本和真の後ろを打つ5番を任されている。
「2メートルを超す大柄ながら、柔らかいバッティングで広角に打ち分ける。もちろん一発長打もあるし、高卒3年目でここまで成長してくれるとは首脳陣も予想外だったのでは。まだ左投手には弱い面を見せていますが、慣れていけば克服するでしょう」
2019年からの連覇の立役者である坂本勇人は故障、丸佳浩は不振で二軍落ちする時期もあった。その穴を秋広や新人の門脇誠が埋めようとしている。とはいえ、坂本がケガで6月24日に登録抹消されて以降、チームは8勝13敗1分と負け越した。しかし、7月28日に一軍復帰すると3連勝。いまだに坂本の存在の有無が巨人には大きな影響を与えている。
「逆転優勝のカギは坂本が故障しないかどうか。今年はまだ一度ですが、昨年は3回の離脱がありました。ただ、門脇は打率こそ低いですが、守備は一級品で坂本と比べても遜色ないほどです。打撃も一時期より改善されてきて、現在6試合連続ヒット、10試合連続出塁と成長してきている。坂本があと何年レギュラーを張れるかわかりませんが、原辰徳監督としては後釜として門脇を育てていきたいところでしょう」
坂本復帰後も門脇はサードでスタメン出場を続けている。守備に関して、原監督からの信頼も厚い。
「優勝の可能性はありますが、現実的には阪神、広島、DeNAを追い抜くだけの力が巨人にあるかどうか。優勝するチームはここぞの試合で勝ちますが、巨人はオールスター前の広島戦、オールスター明けの阪神戦で共に負け越した。若手が伸びつつあるとはいえ、投手陣はまだまだ層が薄い。大勢も欠いており、リリーフ陣にも夏場にしわ寄せが来ることも考えられます」