中国科学院のチベット高原研究所は、世界最高峰のエベレスト山頂の積雪の深さは平均で約9.5mだったと明らかにした。これまでの積雪の深さの推測値は92cm~3.5mの範囲内とされていた。
今回の測定で、従来の推定値より2.5倍から10倍も深いことになり、2020年に中国・ネパール合同チームが測定したエベレストの標高8848.86mにクエスチョンマークがついた形だ。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
チベット高原研究所は昨年4月と5月にエベレスト北斜面の標高7000m以上の尾根に沿って探査し、山頂までの26の測定ポイントで地中レーダーを使って数十回の測定を行った。
探査ポイントの雪と地表では硬軟の違いが大きいため、両者の境界を特定でき、より正確な地表の高さを測定することが可能となった。
その結果、積雪の深さは平均約9.5m、プラスマイナス1.2mの範囲内だった。
エベレストの正確な標高については、雪の高さの変化、光の屈折などの要因により、意見が分かれているが、研究チームは「今回の新発見は、山頂の本当の高さが変更される可能性があることを意味する」と指摘している。
エベレストの標高については諸説ある。1954年にインド測量局が周辺12か所から測定し、その結果を平均して得られた8848mという数値が長年信じられてきた。
しかし、全米地理学協会は1999年、GPSによる測定値が8850mだったと発表。2020年、中国・ネパールは合同で計測した結果、従来の測定値よりわずかに高い8848.86mと発表しているが、近年の研究で、地殻変動などの影響によって標高は年々変動しているともいわれている。
今回のエベレストの積雪の測定結果が正しければ、頂上の高さが最大で6m低くなるかもしれない。