回転寿司チェーン大手・スシローの店内で、少年が醤油ボトルや湯呑みを舐めて元の場所に戻す迷惑動画が拡散された問題。スシローの運営会社「あきんどスシロー」は問題を起こした少年に対して約6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴していたが、7月31日付で調停が成立し、訴訟が取り下げられていたことがわかった。
裁判では、スシロー側が「動画によって、多くの客に著しい不快感や嫌悪感を与えた」と主張。少年側は、答弁書の中で迷惑行為を認めた上で、「客の減少は同業他店との競合も考えられる」などと反論していた。
問題となった動画は1月3日に岐阜県岐阜市内の店舗で撮影された。訴状によると、少年は友人と来店。迷惑行為は友人が撮影したという。そして1月29日頃、SNSに動画が投稿された。内容は以下のようなものだった。
ボックス席に座った金髪の少年が、キョロキョロしながら、手にしていた備え付けの醤油ボトルを舐める。撮影者は「えっ、キモっ」と呟いた。されに少年は指を口の中に入れ、レーン上の寿司になすりつけようとするものの、寿司が回ってこず、「来い早く。来うへんなぁ」と苛立った様子を見せる。すると、レーン上に積み上げられた湯呑みを手に取り、ベロベロと飲み口を舐め回し、再び元の位置に戻した。
寿司が回ってくると、幾度となく指先をペロペロと舐め、レーン上の寿司になすりつけた。48秒の動画は、カメラ目線の少年がキメ顔でグッドポーズをする姿で終わっていた。
この動画が大きく報じられた直後の2月、少年の父親は「週刊ポスト」の取材に答えていた。最寄り駅から車で40分ほどの山間にある一軒家で呼び鈴を押すと、その父親が対応した。
──(スシロー側に)謝罪に行かれたのは事実でしょうか?
「そうですね。すみません」
──あれはお友達が撮影したものなんでしょうか。
「(うなずきながら)そこまでも言っていいものなのか……詳しいことは本当に何も言えないんですよ…。僕も弁護士さんの方にお願いしてありますので、何も話さないようにと言われておりますので」
父親は記者の目をしっかり見ながら話し、実直な性格であることが窺えた。息子本人の話になると、目に涙を溜めていた。