中国の人民解放軍ロケット部隊の司令官らトップ2人が同時に交代する異例の人事が行われ、前任者は腐敗問題で拘束されたとみられている。中国では軍の規律が緩んでいるとともに、習氏の軍内での求心力低下が懸念されているようだ。香港紙「明報」などが報じた。
中国軍機関紙・解放軍報は8月1日、戦略ミサイル部隊「ロケット軍」の司令官に王厚斌上将(大将に相当)が、司令官とほぼ同格で政治工作を担当する「政治委員」に徐西盛上将がそれぞれ就任すると伝えた。
トップ2人が同時に交代するこの異例の人事の背景には、汚職や機密漏えいなど軍内の深刻な問題があるとの見方が出ている。
香港メディアは前任の司令官である李超玉氏と副司令官ら3人を含むロケット軍幹部10数人が汚職摘発機関の調査を受けており、他の1人の元高官が7月上旬に自宅で自殺したと伝えていた。
7月26日、習氏は人民解放軍西部戦区の空軍を視察し「軍は厳しい規則と反腐敗対策を推し進めるとともに、共産党が軍をしっかりと掌握するのは当然だ」などと指摘するとともに、「戦闘能力を高めるため、軍の訓練を強化し、新装備をより迅速に使用しなければならない」と述べた。
さらに、習氏は7月下旬、軍関係の会議を招集し、改めて腐敗防止や、軍に対する共産党の絶対的な指導の堅持に言及し、引き締めを強める考えを明確にしたという。
これに関連して、中央軍事委員会はこのほど、軍機関紙「解放軍報」の1面で、機密保持を徹底するための「軍事指導部幹部の社会的交流に関する行動規範」を発表した。これは軍最高幹部と党・政府や国有企業、メディア、宗教団体、外国機関、家族などとの付き合い方に関する行動規範を定めたものだ。
このような初歩的な機密保持に関する規定が発表されるのは習近平指導部発足後、初めてとみられおり、習氏が軍幹部のモラルの低下とともに、自身の軍内への指導力が緩んでいることに危機感を抱いている表れといえる。