「医食同源」とは、病気の治療も日常の食事も、ともに生命を維持し健康な体を保つためには欠かせない、源を同じくするものだという教え。しかし、一般的に体にいいといわれている食品でも、摂取量が増えると“毒”になることがある。管理栄養士の望月理恵子さんが警鐘を鳴らすのは「海藻の摂りすぎ」だ。
「健康食の代表格であるわかめや昆布が豊富に含有するヨウ素がその理由です。ヨウ素は摂りすぎると甲状腺ホルモンの働きを抑える作用が生じるため、甲状腺機能低下症になる恐れがある。もともと日本人は日常的に海藻類を摂取する量が多いので、注意が必要です」(望月さん・以下同)
栄養たっぷりで「野菜の王様」と称されるケールも同様の危険性がある。
「アンチエイジング効果のあるβ-カロテン、目にいいとされるルテイン、カルシウムなどが豊富な一方、甲状腺ホルモンの産生を抑制するゴイトリンという成分も多く含まれている。食べるのは適量に留めてください」
ひじきも気をつけるべし。海外では無機ヒ素が多く含まれている「要注意食品」として認識されており、イギリスでは2004年の時点で、英国食品規格庁が国民に食べないように勧告している。無機ヒ素を短期間に大量摂取した場合、下痢・嘔吐など急性の中毒症状が現れ、継続的に大量摂取しているとがんのリスクが高くなるとされているのだ。
含有する有害物質が元来の健康効果を打ち消すほどの弊害をもたらす可能性がある玄米にも注意が必要。あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんが説明する。
「米は白米に精製する過程でかなり農薬が落ちるので、玄米のままだと『無農薬』と表示がない限り農薬が残っています。また、玄米をはじめとした精製していない穀物にはミネラルなどを排出するフィチン酸が含まれているため、せっかく摂った栄養素が体外に出されてしまうリスクもあるのです」
筋トレブームに伴い、「健康長寿の要」と喧伝されるたんぱく質も、やみくもに食べればリスクを招く。
「動物性たんぱく質を摂りすぎると、尿中の尿酸が増えて尿路結石の原因になります。中でも青魚は、オメガ3脂肪酸のEPAやDHAが体にいいといわれるものの、油には変わりないので、肥満のリスクはある。魚の油を増やすならば、ほかの油を減らすようにしましょう」(望月さん)
※女性セブン2023年8月17・24日号