ウクライナ軍が、ロシア軍から奪い取った北朝鮮製のロケット砲などを使用してロシア側を攻撃していることが明らかになった。1980年代から1990年代にかけての古い兵器も多く、性能が悪く、あらぬ方向に砲弾が飛んだり、突然爆発することもあり、ウクライナ軍兵士も苦労しているという。英紙「フィナンシャル・タイムズ」が報じた。
これらの兵器はロシア軍からの鹵獲(ろかく)品で、戦車やロケット砲から通常の拳銃までさまざま。ウクライナ東部の激戦地、バフムト近郊ではウクライナ軍兵士が多連装ロケットを操って、ロシア軍を攻撃していたが、そのシステムの中央部分には北朝鮮の国旗が貼られており、ハングル文字が使われていた。
北朝鮮製の武器はロシア軍にとっては貴重といえるが、ウクライナ兵士が実際に使ってみると、しばしば誤射したり、不発弾だったりで、「非常に信頼性が低く、時々おかしなことをする」と現場では不評のようだ。
米国防総省の発表などによると、ロシアのウクライナ侵攻による欧米諸国などの制裁によって、ロシアは従来の武器供給ラインを遮断されており、いまでは北朝鮮やイランなどから砲弾やその他の武器を調達しているという。
米ホワイトハウス国家安全保障会議のジョン・カービー報道官は会見でこのほど「北朝鮮が再びロシアに武器を提供している証拠を掴んでいる。ロシアは平壌から20種類以上の武器と軍需品を受け取っている」と指摘している。
ロシアのプーチン大統領は7月下旬、ウクライナでの戦争に対する北朝鮮の「確固たる支援」に感謝するコメントを発表。ロシアのショイグ国防相も7月27日の朝鮮戦争休戦70周年に合わせて訪朝し、金正恩朝鮮労働党総書記と会談するとともに、北朝鮮の兵器展示会を訪れており、北朝鮮から兵器を買い付けたのではないかとの観測も出ている。