食品添加物や農薬やホルモン剤の問題が明らかになった現代において、オーガニック食品の市場は右肩上がりで成長を続けており、特に「自然派」や「天然」を謳った食品が加速度的に増えている。“少し高くても体にいいものを”と考える消費者の意識の表れだが、それらが必ずしも効果を発揮するとは限らない。食品表示アドバイザーの垣田達哉さんが解説する。
「日本人は『自然』や『天然』と名のつくものにいいイメージを持つので、商品広告によく使用されます。しかしそうしたキャッチコピーを謳うために、何か基準や審査が必要なわけではありません。中には砂糖がたっぷり使われていたり、添加物が含まれているものもあるのです」
管理栄養士の望月理恵子さんも「天然と健康は必ずしもイコールでないことを覚えていてほしい」と訴える。
「例えば、天然ものである薬草の中には、肝臓に重大な害をおよぼすものがあります。その食品の成分がどんなもので、どんな作用があるのかをしっかり確認してほしい」(望月さん)
表面のキャッチコピーではなく、裏面の食品表示をチェックすることが肝要なのだ。例えば「ゼロカロリー」は決して「0」ではなく、100mlにつき5kcal未満を示すもの。
「同様に『甘さ控えめ』や『甘さスッキリ』という言葉も、決して“糖分が少ない”ということを意味するわけではなく、砂糖や添加物の人工甘味料などが使用されている場合もあるので気をつけてほしい」(垣田さん)
疑わしい表現は横文字の中にもある。米ボストン在住で内科医の大西睦子さんは、「スーパーフードという文言にも騙されないで」と注意を促す。
「この言葉が誕生したのは、第一次世界大戦後にアメリカの企業が、食品マーケティング戦略として『スーパーフード』としてバナナを売り込んだのがきっかけ。栄養学分野の科学者や研究者たちが生み出したわけではない、科学的根拠のない表現に過ぎません」(大西さん)
ヘルシーで健康にいいと謳われる植物性油も「メーカーが生んだ神話」であると、あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんは断じる。
「サラダ油など植物性の油が動物性よりもヘルシーだというのは、都市伝説でありメーカーが作り出した神話に過ぎません。しかも商品によっては加工・精製工程で水素が添加されているので、冠動脈疾患を増やすといわれているのです」