ワールドワイドに支持されている韓流カルチャー。日本での第1次韓流ブームが巻き起こったのは、2003年にNHKのBSで放送された『冬のソナタ』がきっかけだ。そして、2000年代中頃になると、K-POPに注目が集まるようになる。これが第2次韓流ブームとなる。韓国カルチャーに詳しい作家の康熙奉さんが解説する。
「火付け役となったのは、東方神起でしょう。彼らは2004年に韓国でデビューし、その翌年、日本デビュー。長身で抜群のルックス、何より歌唱力の高さとピタリと息が合ったダンスパフォーマンスは見るものを圧倒。瞬く間に人気となりました。
同時期にBIGBANGなどの実力を持ったグループが活動を始め、少女時代やKARAなど抜群のスタイルとスキルの高いダンスパフォーマンスで魅せるガールズグループが登場。K-POPは日本の市場でも大きく受け入れられるようになりました」(康さん・以下同)
なぜ、K-POPアーティストたちは歌やダンスのレベルが高いのだろうか。
「韓国には、『歌と踊りは自慢するな』という言葉があるほど、老若男女を問わず、日頃から歌や踊りに親しんでおり、レベルも高いんです。貸切バスの中で団体客が通路で踊っているなんてことも珍しくありません。彼らのDNAには生まれながらにして歌とダンスのスキルが組み込まれているんです」
K-POPアーティストたちは日本での成功をきっかけにアジアから世界へと活動の幅を拡大。そこに現れたのがBTSだ。彼らは2017年前後に第3次韓流ブームを巻き起こす。
「BTSは当初からアジアだけでなく、世界進出を目指していました。
自分たちの音楽やその思いを伝えるためにもYouTubeやSNSを使って情報を配信。時代に合った戦略を立て、知名度を上げていったのです」
韓国のプロデューサーが仕掛ける世界戦略
一口にK-POPと言っても近年はメンバーの国籍も多種多様だ。J.Y.Parkの名で知られる歌手のパク・ジニョン(51才)がプロデュースを手掛けるTWICEは韓国人5人、日本人3人、台湾人1人の多国籍グループだ。
コロナ禍に「世界で活躍できるガールズグループを作りたい」と、彼が日本国内で大々的に行ったオーディションは、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)などを通じて話題となり、日本人女性だけのグループNiziUがデビューした。
「いまの日本の芸能界は、韓国の才能あるクリエイターを起用して、世界で通用するグループや作品を作りたいという気持ちが強いようです。その逆も然りで、エンタメ界においては、日韓の垣根はなくなってきました」
たとえば、是枝裕和監督(61才)が韓国の国民的俳優ソン・ガンホ(56才)らを起用して撮った映画『ベイビー・ブローカー』(2022年)は、カンヌ国際映画祭などで高い評価を受けた。
「2003年前後から起きた韓流ブームにより、日韓双方が尊重し合い、質の高い作品を作っていく傾向はこれからも高まっていくと思います」
※女性セブン2023年8月17・24日号