最内枠からのスタートで、前半やや掛かり気味でしたが、落ち着いてからは思うように乗れたし、展開もうまく嵌ったと思います。6番人気での勝利で、2着も人気薄だった記憶があります。管理する金成貴史先生は矢野進厩舎の調教助手だったので昔からよく知っていましたが、これが平地での初重賞勝ちでした。この後は天皇賞(秋)、有馬記念と頑張ってくれました。
僕はGIに350回近く騎乗しているのですが、1番人気だったのはアパパネの三冠を含めても20回ありません。2番人気も15回だけで、6番人気以下が200回を超えています。人気馬だけではなく、もしかしたらチャンスがあるかなと思う馬の依頼も多かったということでしょうか。競り勝つ競馬をするタイプだったことが要因なのかもしれません。ジョッキーにとっては人気馬に乗ろうが、人気薄だろうが依頼をいただいたら勝つことだけを考えます。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年8月18・25日号