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人生の終盤に患った大病、治療は「入院」か「在宅」か 過剰医療と医療ネグレクトのリスクを考える

高齢で大病を患ったら、入院か?在宅か?(イメージ)

高齢で大病を患ったら、入院か?在宅か?(イメージ)

 高齢となって大病を患った際に、病院に入院するか、それとも在宅で治療を受けるか。その選択は残りの人生を大きく左右する。

 医師に言われるがまま入院を選択すると、「過剰医療」につながるケースがあるという。心越クリニック理事長で訪問医師の岩間洋亮氏が語る。

「脳梗塞などで入院し、医師の勧めで療養型医療施設に長期入院するケースがある。何かあればすぐに医師や看護師にみてもらえますが、過剰医療になりやすい側面があります。

 たとえば、口から食事ができない場合には胃に穴を開けて栄養を送る『胃ろう』の造設や、太い静脈に直接栄養を入れる『中心静脈栄養』が検討され、呼吸が難しい状態なら人工呼吸器を装着させられることがある。入院が長引いて体力が衰えてくるとこうした治療が中断できなくなり、人によっては病状が悪化し、管だらけになって溺れるように亡くなることもあります」(以下「 」内同)

 在宅治療であれば、そうした過剰医療は防げるが注意も必要だ。

「住み慣れた我が家で治療を受けられるのならストレスを軽減できます。ただし、注意が必要なのは老老介護やおひとり様のケース。身の回りのことに手が回らなくなり、自宅がゴミ屋敷になって合併症につながりかねない。担当医の質が悪いと患者の疾患を見逃す『医療ネグレクト』になる可能性もあります」

 岩間医師が経験したケースでは、在宅介護を受ける認知症の80代男性の股関節骨折を担当医が見逃し、放置していたという事例があったという。

 そうならないためには、「人生会議」の導入が重要だという。

「将来的に自分が望む医療や介護について、家族や医師、介護者などとあらかじめ話し合っておく。いざという時に後悔しない選択をするため、元気なうちから人生会議に取り組むことが重要です」

 過剰な医療で身体を壊しては元も子もない。

※週刊ポスト2023年9月1日号

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