夏の甲子園が佳境に入ってきた。8月21日に準決勝の2試合が行われ、23日には日本一が決まる。今年は仙台育英(宮城)、神村学園(鹿児島)、慶応(神奈川)、土浦日大(茨城)の4校がベスト4まで勝ち上がってきた。
高校野球といえば、昭和の頃は“先発完投”が当たり前だった。しかし、今大会のベスト4は準々決勝まで一度も投手が完投していない。完全な継投の時代に突入したと言っていいだろう。なぜ1人に頼らず、複数投手の分業制が可能になったのか。
「大きな理由の1つに、県外の高校から入学する“野球留学”が挙げられます。昔の公立のように学区が決められ、該当地域からしか生徒が集まらないとなれば、運動神経の高い人間は限られてくる。高校野球の場合、甲子園を目指す生徒が県を跨いで、有力な私立校へ入学する。未だに批判の声もありますが、“野球留学”が盛んだから投手分業制が確立できる面はあります」(スポーツライター・以下同)
今大会、ベスト4まで勝ち上がってきた学校でマウンドに上がった投手の人数は、仙台育英5人、神村学園4人、慶応3人、土浦日大3人となっている。初戦から準々決勝までの中で、地元出身の投手(※出身中学で判断)だけで1試合を乗り切ったチームは1つもない。
「地元出身の投手は慶応が0人、土浦日大と神村学園は1人ずつ、仙台育英は2人です。15人中4人しかいません。越境入学投手が7割を超えていますし、各校ともエースと呼べる投手は県外生です。ピッチャーは野球の中でも最も運動神経のいい人が任されるポジション。そこは県外からも広く集めたほうが有利になるという証明でしょう」