夏連覇を狙う仙台育英(宮城)を倒し、107年ぶりの優勝となった慶応高校(神奈川)。慶応の三塁側応援席からは得点のたびに応援歌「若き血」が響き、仙台育英からアウトを奪うたびに大歓声が湧き起こった。この慶応の応援の凄さは中継でもたびたび触れられ、田中将大との熱戦で日本中を沸かせたあの斎藤佑樹氏ですら驚いた様子を見せていた。
試合中、SNSではこの慶応の応援が話題に。5回表、仙台育英の外野陣が打球で交錯して落球したプレーでは、その後の大量失点に繋がったこともあり、〈声援がすごすぎて外野の声かけできなかったんじゃないか〉〈慶応の応援大人気ないよ〉などと議論が起きていた。
実際にこの試合をアルプスで観戦した同校OBも興奮冷めやらぬ様子でこう語る。
「チケットが完売したなど事前情報で人が多いだろうとは思っていたのですが、アルプススタンドだけでなく普通席にも塾高(慶応高校)の応援がいて、想像以上の多さでした。意外なのが、応援にかけつけた人の割合が塾高OBと非OBで同じくらいだったのではないかということ。私の席の近くにも『高校は地方だけど慶応大のOBだから応援に来た』という人がいました。当然、志木(慶応志木高)や女子高(慶応女子高)の現役生やOBOGも応援にきていて、慶応閥の絆の強さを感じて嬉しかったですね」
だが、同じく現地観戦していた別の慶応高校OBは「母校の優勝は嬉しいんですけど、イチ高校野球ファンとして応援については思うところがあります」と複雑な様子を見せる。
「高校野球の応援にはマナーがあります。自分のチームの攻撃中でも、相手チームのプレーに迷惑がかからない範囲での応援をすべきです。5回表の仙台育英のエラーはこれまでの育英とは思えぬプレーでした。そもそも相手のエラーで歓声を上げるなんてもってのほか。おまけに仙台育英の攻撃中にもひとつアウトをとるたびに歓声を上げていて。三振を奪うたびに大歓声があがっていたのは違和感を覚えました。拍手ならまだ理解できるんですが……プロ野球の観戦の経験はあるものの高校野球の応援は初めて、という人が多かったからかもしれません」